風呂場の談笑?
「え、ひゃ!ちょ……何を……アハハ!くすぐったいです!アハハ!」
腹に手を添えたかと思ったらそのまま少女をくすぐりだした。
「ほらやっぱり、あなた体冷えきってるじゃない。さっき来てまだお湯にも浸かっていない私の手より冷えきっているわ。まるでついさっき体が冷えるような出来事があったみたいだわ。何かあったのかしら?」
くすぐるのを止めたエーリアは右手で顔に張り付いた前髪を掻き分けながら言う。
掻き分けた拍子にエーリアの髪から水滴が滴り落ちる。
「そ、それは……ひゃ!?」
言い淀み仕切りに目線を彷徨わせていた少女の視点が180度回転し足に冷たい感触が伝わったことだろう。
「とりあえず上下逆さまの状態じゃ辛いでしょう。ほら首元ですらこれだけ冷たい……だから……一緒にお風呂に入りましょう? このままじゃ私は風邪を引いちゃうしあなたも私に遠慮して出ていってしまえば多分風邪をひいてしまう。だけど私が風邪をひかずにゆっくりお風呂に入るにはあなたをどうにかしないといけない。ああどうしましょう。私が現出させてしまった蔓のせいで私は常時魔力を消費している。捕まえられているこの痛いけな少女をどうしたらいいのかしら……だから……」
エーリアにしては珍しい思わせぶりな道化じみた動きでクルっと1回転した後ピッとお湯が張られた浴槽を指さす。
「結論だわ。一緒に入りましょう。それが俗に言う最適解、だわ」
「へ?ひゃわぁ〜!」
その突然の結論に少女が問い返す間もなく少女の体は湯気立ち上る空中、約2mを舞った。
弾着予想地点は浴槽ど真ん中
『ウィチェレン』
また頭から落下していった少女が着水した瞬間少女の周りの水が粘度の高いゼリーの様になった。
そして勢いがほとんど無くなったのを意思があると思えるほど的確に見計らって水は元の本分を思い出し少女の体を手放した。
僅かな水しぶきを上げ少女は水に沈んだ。
次いで
「せいのっ!」
エーリアが綺麗なフォームで浴槽へと飛び込む。
派手な水しぶきを噴進砲の斉射かとばかりに撃ち上げたエーリアはザブザブと水を足で掻き分け少女が落下した場所まで進むと少女を引っ張り上げた。
「プハッ!し、死んだと思いました……」
「ごめんなさいね。まぁゆっくりお風呂に浸かりましょう。それから不躾で申し訳ないのだけどもしかしてあなた、私を直接見ているでしょ?しかも私がここに来てから」
少女と並んで座りながらエーリアは何気ない様子で問う。
「へ?な、何でですか?だって貴族様ですよ?分からないわけないんじゃないですか?」
うーん……少女よ。目が泳いでることはまぁ見なかったことにしても……それすぐ嘘だってバレるぞ。だって……
「あなた……それ嘘でしょ。だってシュペー家って没落貴族なのよ?せめて第27惑星ぐらい、いえ第Ⅱ衛星ぐらいボンヤリとしたものじゃないと嘘に聞こえてしまうわよ?」
困ったように苦笑しながらエーリアは言う。
「あ……」
いやしまったって顔してるけど普通に考えればわかると思うぞ。シュペー家なんて知ってる方が珍しいほどの小さな貴族なんだから
「まぁそれも良いわ。特に気にしないし、それよりもあなた何処の部屋に住んでる、いや住む予定なの?私以外の子は全員入ってしまった見たいだけど?答えたくないなら全然いいから気負わないでね」
パシャパシャと足を緩やかにばたつかせながらエーリアは質問する。
「えっと……その……じ、実は……お嬢様と……お部屋が一緒、なんです……」
モジモジと別に恥ずかしがっているわけではないようだが恐縮しているといった様子で少女は言った。




