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お風呂

「あ、ちょっと!……行っちゃった。はぁ~……服乾かしてあげれなかった……風邪ひかないと良いのだけど……」


 エーリアが慌てて外に出たときにはまるで黒仮面の少年がそこを通り過ぎた事、存在していたのが嘘であったかのように足音1つ聞こえない。


 だが下の階層からは賑やかな声が聞こえてくる。


「お嬢様、あの子のことはともかく早くお風呂に入らないとソフィーアさんから怒られるぞ。」


「そうね。私たちが最後てソフィーア先生も言ってたし早く入りに行かないと。他の皆はもうご飯でも食べているのかしらね?今日1日色んな事があってクタクタなのにご飯が食べれなかったら私悲しくて自分で作ろうとしてしまいそうだわ」


 そう言いながらズルズルと開け放たれたドアにエーリアはもたれ掛かる。


「……、……、、、……それはそうと早く風呂の準備をしろ!」


 いくら待っても動こうとしないエーリアに業を煮やした俺は自身に掛けている『リトルスパーク』を解除した。


「痛っ!分かった、分かってるわよ!」


 全備重量1kgはある金属の塊を支えていた魔法が切れた事で重力に従い落下、目測通りエーリアの肩に直撃した。


 とは言ってもそこまで高い位置からの落下ではないのだが……


 たがぐで~としていたエーリアもそこまでされたら起きるしかないようで俺を抱え軽く上に放り投げたときの放物線の頂点で『リトルスパーク』をかけ直し体勢を整えながら答える。


 風呂の支度を終え階段を降りるエーリアの手にあるタオルを持ってあげながら俺もエーリアの後を追う。


「まぁ確かにそうね。お風呂は降りて右側の1番奥だってあの子は言ってたわね。お風呂、どんな感じなのかとても気になるわ」


 ウキウキとエーリアは言いながら最奥、右側にあるバーティマーと書かれた札が下げられている扉を開けた。


「へぇ〜第27惑星にあった公衆浴場より広いわね」


 ロールベーバオムを薄く切って編まれた籠が大量に置かれた脱衣場は確かにエーリアがよく入りに行っていた第27惑星の公衆浴場の脱衣場よりも大きかったがエーリアが最後ということで誰もおらずガランとしていた。


「良いからさっさと風呂に入りに行った方が良いぞお嬢様。ほら、早く行け」


 服を脱ぎ終えてもキョロキョロと周りを見渡すエーリアに焦れた俺はエーリアの肩をグイグイ押しながら磨りガラスが貼られているドアを押し開けた。


「もう!そんなに押さなくたって良いじゃない!あ、髪を洗え?はいはい分かってるわよ照本。はぁ〜全く照本はホントに私の裸を見てもドキドキしないしそんなに貧相かな……どうなの?」


「はいはい、そんな事はこの学園で女友達が出来た時にでも話す方が断然有益だと思うぞ。そもそも自分の使い魔として召喚されたのが異世界の人間だってのを信じる人がいればだがな。ほら、泡流すぞ」


 俺に促され髪を洗いながらエーリアはぶつくさ文句を言う。


 まぁ俺も男ではあるがそもそもそんな欲は生前も転生した今も全くと言っていいほどないわけだし、歳も歳でどちらかと言うと自分の子供とか近所の知り合いの子供的な立ち位置なんだよな。エーリアって。


 物思いにふけながらもいつものようにエーリアの髪に付いた泡を手直にあった桶を使って洗い流してあげる。


「はい、泡も流し終わったぞ。さっさと風呂に浸かってこい。湯気が濃いから足下と前方にはよく気をつけて歩けよ」


「はいはーい分かってるわよ~ わぁ!大きな湯船だわ!」


 はぁ……注意したのにこれだからなぁ。怪我しないかいつもハラハラする。


 ため息をつきながら俺もエーリアの後を追う。


 とエーリアが俺の視界から突然消え次いで大きな水しぶきがあがった。


「っ!?お嬢様!大丈夫か!」


「ぷはっ!あはは……湯気のせいで境目が分からなかったわ」


 つんのめるようにして湯船にダイブしてしまったエーリアはバツの悪そうな顔をした。


「だから言ったのに……怪我はないようだな。次からはゆっくり歩けよ……


『でだ、お嬢様。危険は無いと思うんだが俺の索敵用結界に触れた物体がある。大きさ、挙動から見て人間ということは確実だ。用心のためにこの煩わしい湯気を消し飛ばしたい。良いか?』」


 普通に発声して喋っていた俺は念話に切り替え第3者が居ることをエーリアに伝えた。


『ええ、良いわ。別に隠すつもりがある訳ではないけど害意があるような人に使い魔が転生者といことはバレたくないしね』


『了解、じゃあこれを』


『分かったわ』


 エーリアに指定の起動式のトリガを渡す。


 エーリアに負担をかけないように今回は俺の中にある小型の魔導転換炉によって転換されたマナを消費する。


『ヴィルベルヴェント』


 エーリアの背後から爽やかと言うにはやや乱暴な旋風(つむじかぜ)が踊り浴室に充満した湯気を余すことなく吹き飛ばした。


 そして露わになった第3者は

「きゃあ!な、なんですか!?凄く強い風が……寒いです!」


 突然起こった風に驚き次いで身をブルブルと震わせると湯船にザブンと浸かった。


 第3者は可愛らしい、エーリアと同い年か、それより1歳ほど歳下に見える気弱げな女の子だった。



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