回復魔法
「熱!」
そう叫びながらも黒仮面の少年はテーブルを押し返す。
「だ、大丈夫!?早く冷やさないと!仮面の中にも入ったでしょ!」
起き上がったエーリアは急いで冷やそうと黒仮面に手を伸ばす。
「っ!触るな!」
だがエーリアが仮面を外そうとしている事に気が付いた黒仮面の少年はバシッと仮面に近づいて来ていた手を振り払った。
「ご、ごめんなさい!でも火傷してるだろうからせめて回復魔法ぐらいは掛けさせて」
叩かれた右手を押さえながらエーリアは謝った。
黒仮面の少年の力が強かったのだろう叩かれた手の甲は赤く腫れていた。
「……ごめん。僕も勢い余って叩いてしまった……僕は良いから先にその手を治して、いや責任を取って僕が治すよ」
ハッとした様子の黒仮面の少年は謝るとエーリアの右手に手を添えた。
フッと瞬間的に重なり合った手の隙間から翠色の光が漏れ黒仮面の少年が手を離したときには手の腫れは消えていた。
「多分治ったとは思うけど。違和感とかがあるならソフィーア先生や医務のマドルナ先生に見てもらった方が良いよ」
「……治ったみたいだわ。じゃあ次は私が、もちろん仮面は外さないから心配しないで」
手を握ったり開いたりして具合を確認したエーリアは黒仮面の少年が遠慮する前に顔を両手で包んだ。
『照本』
エーリアが思念で俺に合図を送ってきた。
『ああ、分かってる』
俺は黒仮面が湯を被った時点でこうなるだろうと踏んでさっさと用意しておいた回復魔法をを共有する。
黒仮面の少年が使用した回復魔法とは違い一瞬ではなくジワジワと糸のように光が漂い始めフワリと仮面を含めた顔全体を覆うと肌に浸透するようにして消えさった。
「ま、こんなとこかしら。さて次は髪を……」
熱風を起こす魔法をエーリア自身が構築しだした時ピリリリ!!とベルが鳴る音がした。
「あ、伝声鳥が鳴いてるみたいだね。確かこの辺りにあるはず……あった」
するりとエーリアの手から抜け出した黒仮面の少年は入口入ってすぐにある中型の棚からカナーリエンと言う種類の鳥模して作られたメッシィング制の置物を持ってきた。
音の発信源はどうやらそれらしい。
黒仮面の少年はその置物の尾羽を押し下げるとエーリアに手渡した。
「あ、繋がったわね。エーリアさん~入浴の時間になりましたよ。他の皆は入り終わって貴方の部屋が最後だから時間を考えないでゆっくり入ってくるのよ。じゃあねぇ~」
カナーリエンの置物からソフィーアの声が聴こえ入浴の旨を伝えるとこちらの返事も待たずに切れてしまった。
「入浴の時間みたいだ。ソフィーア先生風呂場の場所伝えてないみたいだから僕が教えるよ。確か女子寮の風呂場は階段を下って右側の1番奥だったはずだよ。早く行ってくると良いよ。僕もそろそろ行こうかな。お茶美味しかったよ。今度また振舞って貰えると嬉しい」
黒仮面の少年はそう言うと出ていった。




