黒仮面
「……エーリア良くみろ顔がないんじゃなくて仮面だ」
「えっ?あ、ほんとだ……お化けかと思っちゃった」
お化けと言うものがとにかく苦手なエーリアは振り向いた瞬間にパニックに陥っていたが実際はただ真っ黒な仮面を被っているだけだった。
「ああ、怖がらせてごめん。紛らわしかったようだね。ご覧の通りほら、足も付いているよ」
飾りっ気のない仮面の裏からボーイッシュな声が響く。
「……付いてるわね、なら何でここに……まさか私、それを校門とかで落としてた?」
「うーん……落としてたのはそうなんだけど、足下に落ちてたよ?」
「……」
「灯台もと暗しだな」
「そうだったの……ま、見つかって良かったわ。ありがとう。見つけてくれてとても助かったわ」
エーリアは黒仮面の人に向き直ると丁寧に礼を言い頭をペコリと下げた。
「良いよ、偶然見つけただけだしそうじゃなくてもしばらくしたら君自身が見つけてたと思うよ?だから礼なんていらないよ。ただ気持ちはありがたく受け取らせてもらう」
「フフ、そうだ!丁度いいし一緒にお茶でも飲まない?もしかしたら同じ教室とかで会うかもしれないし出来ればあなたと友達になれたらなーと思ってるの!」
目をキラキラとさせ黒仮面の人に詰め寄ったエーリアはそう提案する。
あ、エーリアの悪い……いや良い癖が出てたな。第27惑星にいたときも私兵団やよく近くで遊んでる子供達を集めて小さな茶会を開いていたな。
自分が気に入った……というより仲良くなりたいと思った人達と談笑する口実の為に招いていたが本当に紅茶は出されるしエーリア手製の菓子も出てきていたからまぁあれはお茶会だな。
もっとも子供達は菓子を食べたらまた外に遊びに出ていたが……
「それは光栄だね。じゃあ1杯飲ませてもらおうかな」
突然子供ぽくなったエーリアに少し戸惑った黒仮面の人だったが快くエーリアの提案を受け入れた。
「やった!ちょっと待っててすぐに準備するわ!」
そう言うとエーリアはテキパキとティーカップを2つ用意して部屋の端に置いてあったテーブルと椅子2脚をズルズルと部屋の真ん中まで引きずってきた。
「さてと後は……」
ゴトリと黒仮面の人に見つけてもらった湯沸かし器をテーブルに置き下部に水を入れ中段に備え付けられたフィルターにマーシャル茶の茶葉をスプーン3杯ほど入れ最下部に設置された薄い円盤に手を置きエーリアは魔力を込める。
すると下部のポットが赤熱しはじめものの数秒で水は沸騰した。
密閉されたポット内で沸騰し体積の増した水は圧力に押され茶葉が入った管を通り上部のポットに溜まっていく。
「こんなものかしら」
ピッタリ15秒でエーリアは加熱をやめる。
しばらくすると下部のポットの気圧が下がり紅茶の成分が含まれた水が下に戻ってくる。
「はい、完成」
カコっとポットを外すとそれぞれのティーカップに注いでいく。
「ミルクは流石に持ってきてないけど砂糖ならあるわ。入れる?」
「そうだね。2つ入れさせてもらうよ」
俺は黒仮面の人が微かに仮面の裏で微笑んだような気がした。




