相部屋
「じゃあ早速あなたの部屋に案内するわ~。この寮は平民、貴族関係なく相部屋よ~平民と貴族が同じ部屋になることもあるわ。生活に必要なものは部屋に置いているわ~」
エーリアの家よりも大きく豪華な寮舎に入り階段を登りながらソフィーアはフワフワとした口調で言う。
当たり前のようにソフィーアは言ったが平民と貴族が同じ部屋で生活しているなんてことは本来あり得ないことだ。
価値観の違いもさることながら平民を見下す貴族が多くいると言うことが平民と貴族の溝を深めている。
その中で同じ部屋で暮らしているのか果たして何も起きていないのか……
「ここがあなたの部屋よ~なにかあったらここから階段を下ってすぐのところに私の部屋があるからそこに来るといいわ」
朗らかに笑うソフィーアに案内されたのはT字型のかね折れ階段を左に曲がり上がった先でこの建物の一番奥の部屋だった。
「はい、ありがとうございます」
「いいのよ。これもこの時期恒例の寮母のお仕事ですもの。これから門限の7時までは自由時間だから部屋の確認が終わったら外に出て学園内を探検してみるのもいいわよあとは……あ!そうだったわ。私ったら重要なことを伝え忘れてたわ。明日の10時ぐらいから入学式が第Ⅰ教練棟であるから遅れないようにするのよ同じ部屋の人は多分中に入るわ。初日からケンカしないようにね」
そう言い残すとソフィーアはニコニコと手を振りながら階段を下りていった。
「緊張するわね。どんな人なのかしら?嫌みったらしい貴族とかとはなりたくないわ」
独り言を呟いたエーリアは意を決するとスイング式のドアを引いた。
「失礼しま……あれ?誰も居ないわ」
エーリアと俺が入った部屋はやはり寮自体に比例してか2人で生活する分には十分なほどの広さを持っていた。
だが部屋をチラッと見た限りソフィーアの言っていた人は見当たらない。
「もしかしたら寮母さんが俺達に対応している間にどこかに出掛けたんじゃないのか?」
「ま、そうかも知れないわね。私のトランクがあっちにあるから私のベットはこっちなのかしら?」
首を傾げていた(俺は精神的に)俺達は部屋の左側にあるベットの上にエーリアのトランクが置かれていることに気づいた。
「多分そうだろ。とりあえずすぐに使いそうな物を出しといたほうが良いと思うぞ」
「はいはい、え~とタオルにお父様から貰った剣、ティーカップそれから……」
タオル3つと2振りの剣、エーリアお気に入りの鳥が描かれたティーカップと取り出しさらにガサゴソと中を探っていたエーリアは縦30cm横10cmほどの大きさの缶を引っ張り出した。
「あったわマーシャル茶。やっぱりこれがないといけないわね♪」
「感謝しろよーその容器作るの大変だったんだからなー……あ、お嬢様鍛治屋のおっちゃんが作ったアレはどうした?」
「アレ?……あ!忘れてきたかも知れないわ!お母様が機転を利かせていれてくれてないかな。アレがないとお湯を沸かせない!」
エーリアは大慌てでまたトランクの中をガサゴソと探り出した。
探しているのは地球で言うコーヒーサイフォン。アレを町の鍛治屋のおっちゃんが無償で作ってくれたのだしかも無茶苦茶精度の高いものを。
「自分で入れてなかったなら無いだろそんなわけ……」
「これ君の?」
フラグ紛いの事を俺が口走ったときエーリアの肩を誰かがポンポンと叩き声がかけられた。
「どれです……か!?」
振り返ったエーリアは突如すっとんきょうな声をあげた。
無理もない声をかけたお相手は顔がなかったのだから。




