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巡洋戦艦

艦橋に伝わる微震が大きくなり続いて縦にスライドし大きく開いた天井めがけてレーベは艦首を上に上げ飛翔する。


「船体仰伏角、プラス15度このままの角度で真っ直ぐ航行すれば訓練場上空だぜ」


突撃隊長は羅針盤の傾きから角度を読み取りヘルセルに告げる。


「速力0,3ノット。訓練場上空まで時間にして約2分ほどか。それまでにエーリアも退屈だろう。何か私達に関してでなにか質問はあるか?このレーベに関することでもいいぞ」


出港から身動ぎ1つせず彫像のように固まっているエーリアを気の毒に思ったのだろう。

ヘルセルは操舵輪から手を離しエーリアの元に来る。


この際操舵輪からヘルセルが手を離したことでレーベは傾いたのだが幸い突撃隊長が「おいおい!バランス崩して墜落するだろうが!」と俺以外誰も聞いていないのに言い放つと操舵輪に齧り付きヘルセルに代わり操艦する。


それにより一瞬傾いた艦は水平を保った。


「えっと……あ、ヘルセルさん。なぜこの艦は宙域に出ていないのに重力圏内を航行できているんですか?」


俺も疑問に覚えていたことをエーリアは質問する。


「ふむ、確かにその疑問が浮かぶだろうな。だが理由は簡単だこの艦が自力で重力県内を航行できるように開発された高速戦艦だからだ」


俺は少し感情が昂った。


なぜなら俺は駆逐艦と巡洋戦艦と言われる火力と速力を優先し装甲を薄くした艦が好きだったからだ。


日本艦なら金剛型、改修され空母になった赤城、その姉天城、巡洋戦艦発祥の地、英国ではフッド、レパルスなどが挙げられる。


祖父に聞かされた火力と速力を重視した設計思想が幼い頃の俺の心に響いたのが影響しているのだろう。


そんな鉄の塊の中で気持ちを昂らせている人がいるとはつゆ知らずヘルセルは話を続ける。


「だが高速性を追求したがために船体が長大化機関出力向上のために魔導転換炉も増加、転換炉から送られる魔力を消費するために推進機関も増設、結果全長200mの大型で費用のかかる艦になったわけだ。そしてその頃主流となり始め今日まで続く重装甲思想に予算を奪われレーベ級は2隻しか建造されなかった」


後半に告げられる欠点で2隻しか作られなかったことが残念とも思いつつ納得する。


戦艦より巡洋戦艦の方が建造費などがかかるというのはこちらの世界でも同じなのだと理解した。


「そんなシケた話をしてもエーリアはつまんねーだろ。まったくそこら辺が女にモテない理由の1つなんだよカタブツ。このレーベ級を語るならやっぱり速力より主砲だろ!この艦に搭載されている主砲は80口径150ミリ砲!海軍工廠で初めて150ミリ砲を搭載した艦なんだぜ。さっきカタブツが言った全長200mの図体のデカさが結果的に大型の砲が載っけれてさらに門数を増やしての一斉射もできるようになったわけだ。それだけじゃねぇこのレーベはな大型の砲を載せてるくせに門数も多いんだ


舷側砲80口径150ミリ砲20基20門


両舷砲同じく80口径150ミリ砲15基15門


片舷指向可能砲数は35門並みの戦艦の1.5倍もある。この門数があれば第30級魔獣が2匹かかってこようが返り討ちにできるぜ。実際に返り討ちにしてるしな!」


操舵を握り細かに動かし進路を微調整し続けている突撃隊長はそうハキハキと言う。


今回はヘルセルの止めが入らなかった。恐らく無駄口で無いこととエーリアに教えてやろうと言ったことだからか。


それを肯定するかのようにヘルセルは頷く。


「そうだな。この火力は最近の200ミリ級の砲を搭載した戦艦と同じぐらいだと思っている多少老朽化はしてるが腐っても元騎士団所属の主力艦と言えるな」


ヘルセルはしみじみと言う。


「あー感傷に浸っているとこ悪いんだがなカタブツそろそろ練習場上空だぞ」


頭を掻きながら突撃隊長は言いにくそうに言った。

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