レーベ
「エーリア!早く艦橋に入るぞ!ここじゃまともに話せない!」
音の発信源近づいたことでただでさえ大きかった音はとても耐えれそうにないほどの大音量になっていた。
ヘルセルはエーリアの肩を叩くとタラップを登った先にあるドアを指差し今から行く場所を指し示すとエーリアの手を引いてタラップを登りだす。
こ橋自体が第2次世界大戦中期以降の日本戦このような塔型こ橋ではないのですぐにドアまでたどり着いた。
ヘルセルはそこまで着くと半ば倒れ込むようにして金属製のドアを開け中に入る。
「……ふぅ、あのうるさい給排気音、もう少し静かにならないものか……外にいて耐えれるものじゃない」
「仕方ないだろレーベ級は少しばかり特殊な艦こなんだから。戦艦の給排気音はうるさいのが相場だよ。ま、一応の対応策で艦橋内を完全防音にされてるのはせめてもの救いだな。じゃなきゃとっくの昔にレーベ級はいらない艦こになってただろうよ」
ヘルセルのぼやきに答えたのはエーリアでももちろん俺でもなく俺たちから見て左前1メートル半ほどの操舵輪によりかかった人だった。
「やっぱりお前だったか突撃隊長。いったいどこから俺とエーリアの話を聞いていたんだ」
「おいおいヘルセル、なんで俺が突撃隊長って言われてるんだよ!ああ?まぁそんなん決まってるだろマストだよ!マストの見張り台!あそこでサボってたらしたから話し声が聞こえたんだよ、で良く聞こえないから艦首に行ったんだよ、ヘルセル~お前少しニヤついていたぞ~」
「……はぁ……バカと煙は高いところ。サバと駆逐乗りは速いのが好きとは言うが……お前専用に艦首とアホは波に当たると付け加えないといけなさそうだな」
「なにを……とすまないな新入生、エーリアとか言ってたな?置いてけぼりにしちまった手始めに自己紹介しよう、俺は……痛で!なにすんだよ!」
激化しようとしていた口論を自分でストップした仮称突撃隊長さんは軽い口調で謝ると自己紹介を始めようとした。
だが名前を言う前にヘルセルが頭をスパンとはたいた。
「突撃隊長、お前話を聴いていたんだろ?エーリアは行かないといけない所があるんだ自己紹介はまたの機会に、だ」
背後にゴゴゴゴと効果音が付きそうな形相でヘルセルは突撃隊長を睨む。
その圧巻の迫力にエーリアは思わず後ろに2歩ほどズリズリと下がった。
「……わかったよ!ならさっさと送り届けねぇとな!」
そう言うと突撃隊長は寄りかかっていた操舵輪から身を離すとそこから見て斜め右上羅針儀が備え付けられている場所に立った。
「すまない、ありがとうな。エーリアはそこに空いてる椅子があるだろう?そこに座っていてくれ」
そう言うとヘルセルは操舵輪の前に4つある伝声管の内1つのカバーを開いた。
「第Ⅰ第Ⅱ推進機関最大出力!機関全速一杯!」
すぐさま伝声管から復唱する声が届き間をおかず艦橋が微震しだした。
「ハッチ遠隔操作!出力最大にての出港ゆえドック内に防護結界を!今回はなんの許可も得ていない!後で反省文を書かないといけないかもな!」
「はいよー!反省文はヘルセル、あんたが半分で私が半分だからねぇ!」
「わかっている。メインアンカー巻き上げ!船体強化魔法出力80!」
『巻き上げ完了!出港できます』
開いている伝声管からそんな声が聞こえヘルセルは誰も見ていないのに頷くとエーリアの「反省文!?」というすっとんきょうな声を書き消すように叫んだ。
「レーベ級Ⅰ番艦レーベ出港!」




