ヘルセル
「ひゃ、ひゃい!?とっとと」
肩に落ちなすすべもなくずり落ちていく俺を抱き抱えながらエーリアは振り返えり自分を怒鳴りつけた人を見る。
青みがかった白い髪を短く切り逆立たせた男が腕を組み堂々と立っていた。
「す、すみません!別に艦を盗もうとか乗っ取ろうとしたわけじゃないんです。今日行われた入学試験に合格して地図に書かれた部屋に行こうとしていたところなんです」
エーリアは男の気迫に圧されて身を小さくし声を僅かに震わせながら言う。
「ここは第1密閉ドックだぞしかもここは学園の正門から1番遠い場所ところにあるドックだどこに行けと言われたが流石にここではないだろう?もしくはんいか別の目的があってここに来たということか?」
実際は迷っただけなのだが打ち明けるのが恥ずかしいのかエーリアはぐっと口ごもる。
当然といえば当然だがエーリアが口ごもったのを見て取った男はその奇妙な間を不審に思い眉をひそめる。
『お嬢様、しっかり方向音痴だってことを彼に伝えないと誤解されたまま学園からつまみ出されるかもしれないぞ。恥ずかしいと思っていることはよく分かるがここで黙って逃げ出すわけにはいかないだろ?』
ズルズルと後ろに下がろうとしていたので慌てて止める。
『だ、だってこの人私が打ち明けても信じてくれなさそうだし……わかったわ』
下がるのを止めたエーリアは体を小さくしながらも男の目を見る。
俺は近くに居ながら何の助けもしてやれない事を腹立たしく思いながらも頑張れっと思った。
「そ、その実は私方向音痴で……それなのに地図もろくに見らずに進んでしまって……気づいたらここの近くまで迷い込んでしまってとりあえず音のするほうに行けば人がいるかもと思って聴覚強化トロンメルフェルを発動させたんです。そうしたらここについてしまったんです……」
恥ずかしさと不安に押しつぶされそうになりながらもエーリアは言い切った。
だが男は腕を組んで黙って立っている。
醸し出される威圧感でエーリアは目を合わせたまま固まっている。
数秒がすぎても男はピクリとも動かない。
そろそろ俺が何らかのアクションをとらねば緊張でエーリアが気絶すると思った時
「フフッハハハハハ!」
安定感のある低いアルトがドック中に響いた。
「ハハハ。そうか、方向音痴だったのか。怪しさがあふれ出て来そうな言葉だが君は噓をつかなそうな目をしている。信じよう」
笑うのを止めた男はよくとおる声でそう言うと俺達のほうに近づいてきた。
「君、名前は何と言うのかな?出来れば年とあるなら家名も教えてくれると助かる」
薄く笑みを浮かべた男は尋ねる。
身長150㎝やっと届くかのエーリアの近くに男が来るとまるで年の離れた兄妹のように見える。
「え、エーリア・シュペー。年齢は王星歴2007年の2月9日生まれの17歳……です」
いつ何が起きてもいいように俺は魔法をエーリアに送る準備をしながらその状況を見守る。
「ふむ、エーリアか。失礼、名乗り忘れていた。私はラフェンレ艦騎士高等部所属ヘルセル・シュタウフェンベルクだ。家名が長いからベルクでもシュタウでもフェンルでも何ならヘルセルでもいい。歳は星王歴2005年の4月6日の19歳だ」
そう言うとヘルセルは右手をエーリアに向かって差し出す。
「……よろしくお願いします。ベルクさん」
差し出された右手を握りかえしながらエーリアは控えめに言った。




