Dear, Future
緑道の木々の幹は錆びていく。
舗装された道にはだれの足跡もない。
うち捨てられた吸い殻もきっと
燃えつきてしまいたい鼓動の一つだ。
ゆるやかな坂道もいつかは名前をかえて
空回りする環状線になる。
さみしげな電波塔の数列もいつか終わる。
そこがきっと 世界の果てだ。
晩秋、鳥の囀りはにわか雨のようだった。
早贄にされてしまったのだろうか。
春に芽がふくらむころ わたしは
またこの猫の背をなぜるだろう。
雲になりきれない煙のなか
住宅街は熟れた果実のように赤らむ。
Happy birthday, Dear Future.
遠回りする日々が暮れていく。