表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
991/1012

対峙9

 線を引く。

 理想と現実を引き裂くように、線を引く。

 空間を分割し、均等に区切るための線を。


 一辺が2M――これが俺に把握できる完璧な枠線。

 それが広がっていく。

 仲間を、敵を、風景を突き抜けて、やがて完成する。


 極僅かながら、絶対が存在する空間が。


 潮目が変わる。

 風が吹く。

 押さえつけるほど強く向き合った風が、この背を突き出すほど吹き荒れる。

 お前の番だと、告げるように。


「・・・やるぞ」

「いつでも構わないよ!」

「俺だって、なんでもやってやる!」


 近くに居たジーナとクライフは胸を張って答え、少し離れたエリックやアンナは手を挙げて返す。

 フェリシアは少し遠いのか、反応がない。

 気になったが、説明するのも面倒だ。


 時間的にも、心情的にも、言葉にするには・・・酷く重い。

 だから、


「え、あっ⁉ ええッ――⁉⁉」

 フェリシアの魔力を借り、線を視覚化した結界を張る。


「なんの真似だ‼‼」

 ドラゴンだけが即座に吠える。

 攻撃に見えたのかもしれねぇ。


 その身体の周囲にある線が歪んでいるのは虹の壁こと防護壁のせいだろう。

 それで防げたと思ったのか、まだ声に出す余裕があった。

 この壁があれば―――・・・なんて、期待があったんだろうさ。


 だがそんな悉くを、俺は破壊する。


 手始めにエリックの出した青い炎の柱1つを空間ごとほぼほぼ切り取り、ドラゴンが居る座標へと、その中でも胸の辺りを狙って飛ばす。


「あ、ぐぅあっ‼‼ ハアアアアア‼‼」

 一瞬。苦しむ声が聞こえ、身動ぎながら気合いで炎を振り払う。

 ドラゴンの身体から立ち昇る煙と、熱で温められた空気が生み出す蜃気楼が、さらに枠線と表情を歪ませていた。


 青い炎の柱はまだ10以上ある。

 これだけでも勝てそうだが、面白いことが分かった。

 炎のような事象には、ほとんど質量がない。

 だからか、柱1つを飲み込んで1マスにねじ込んだはずなのに、消費する魔力量が人を動かすよりも少なかった。


 つまり空間転移の魔法では、重いものを動かす方が難しいことだと認識されてるってことだ。

 そして、高さがあったはずの柱でも、2M四方の1マスへ目掛けてねじ込めることが分かった。

 これは入れ替えや移動の瞬間に、空間やその中身を縮小・圧縮できるってことだ。


 さらに柱の根元部分だけは切り取らなかったせいか、その場に残り続けている。

 っつーことは、現象や物質の一部だけを空間ごと切り取ることも可能ってわけだな。


 やはり、今この瞬間に・・・・・・・・・勝ちが確定した。


 ドラゴンの体の一部だろうと、精神の一部だろうと、恐らくは抉り取れるからだ。

 もっと細かく空間を切り分ければ、体内へ剣や盾、魔法道具を送り込むことも簡単にできるだろう。

 決着は近い―――・・・・・・だが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ