表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
888/945

心理解説

「何か対処するつもりか? 決戦の役に立つとは思えんが・・・?」

「後顧の憂いを絶つってのは、物事へ集中するための準備でもある。決戦に勝ったとして、北大陸諸国の状況が改善しねぇなら、件のドラゴンの処理に手間取るだろ」

 殺して終わりにするのが一番楽だが、精神魔法が除去できねぇならそれは選べねぇ。


 これ幸いと大陸全土を掃除してまるっと乗っ取るならまだしも。放置なんぞした日にゃ、どこかの誰かが私欲に動くのは明白。

 個人でなら精々人の尊厳を踏みにじる程度だろうが、団体や国が出張ってきてみろ。超巨大人体実験場になっても不思議じゃねぇ。

 元凶が俺達だって割れれば、その咎の一端を皇国が被ることになるのも目に見えてるしな。


「一理はあるか・・・とはいえど、精神魔法か」

「そういえば、龍王は魔法の各属性を司るんだったよな? 精神魔法を管理してる奴はいねぇのか?」

「分かって聞いておるのだろうが、居ると思うか?」

「まぁそうだろうな」

「その候補だったものがこのような事態を引き起こしているのだ。決着がつかん限り、後継も立たん」


「先代は?」

「とうの昔に亡くなっておる。今は特別な魔法で記憶だけを保存してある。皮肉にも、この特別な魔法も精神魔法だというのだから、事の重大さも理解できよう?」

 早いところどうにかしねぇ限り、龍王の継承にも支障が出るってことか。

 そっちの事情なんざ知ったことじゃねぇが、協力を引き出す情報にはなる。


「ふむ。先程ここへ下りる間際、バフォメットが飛び立つのが見えた。アレの角や爪は精神魔法を強化する媒体になるはずだが・・・狩るか?」

「そんなもんが何の役に立つ? 大陸全土に波及する精神魔法に対抗できるか? それとも、それを使ってお前らが解除してくれるのか?」

「ううむ・・・・・・大陸全土は不可能。我ら全員であたれば、あるいは? いやしかし、賛同が得られぬか・・・」


「にっくき目の上のたんこぶを処理するのにか?」

「汝が1頭ずつ説得していくのであれば、この問題は解決する。要は人間如きのために――という、浅はかな増長のせいよ」

「いっそのこと試金石にしてやってもいいが・・・・・・」

「勘弁してくれ。そうなっては我々ドラゴンの今後にこそ、憂いが残る」

 それこそどうでもいいと思うんだがな。


「そうなるなら敵は殺せねぇし、殺せねぇなら戦い方を考えなきゃならねぇ。負けを認めさせる方法が必要だ」

「力の差だけではいかんのか?」

「生きていたいと思ってるんなら、それでどうにでもなるけどな」


「そうではないと・・・? 人間という別種族まで巻き込んだ、これだけの大事件を起こしておいて、死んでもいいと?」

「命の勘定をしてねぇからこその大胆さとでも言えばいいか? 失敗したら、後は野となれ花となれ――それぐらいの気概は感じたな。それだけの時間と手間暇をかけて行動してたはずだ。そうなると、ここは天王山。生きてもう一度やり直すか、死んで人生ごと終わらせるかの、2つに1つだと思ってるだろうよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ