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「・・・・・・俺をパーティーから追い出したのは、俺が能力的に付いていけなくなったからだろ? いい加減、それを見かねて。それで・・・」
「結果的にはそうだ。でも、お前のLvは上がったじゃないか。俺達と一緒だった10数年じゃ上がらなかったのに、離れてすぐ・・・1年も経たず」
「それはまぁそうだったかもしれねぇが、原因については俺にあった可能性の方が高いだろ。仲間に甘えてたのは俺の方だったってだけで――」
「いや、お前が居なくなって最初の戦闘で気付いたよ。自分達が如何にお前1人に頼っていたか。痛いほどに、さ。ギルドでその話を聞いてたんじゃないのか? そういうところは昔から趣味が悪いと思ってたぞ」
「お前達の活躍が気になっただけで偶然だ。人聞きの悪い濡れ衣はやめろ」
「いや? 君の趣味は悪いよ? なにせ、いい性格をしているからね?」
茶々を入れる外野を睨むと、おっと! 怖いねぇ。なんて笑ってやがる。
「そうか、それはすまない。でも聞いてはいたんだろう? 俺達の――その、失敗をさ」
「それなりに怪我もしたらしいって程度だ。頂上攻略の新規通路開拓からは怒涛の快進撃だとも聞いたけどな」
「やっぱり趣味が悪いじゃないか・・・わざわざ嫌味を言うんだからな」
「嫌味?」
「キマイラの相手で死にかけた話を知らないわけないだろ?」
「あー・・・悪い。それは知らねぇ」
ガクッと背もたれからずり落ちるような反応を見せるクライフ。
「丁度そんな話をしている最中にギルドへ入ったはずなんだけどな」
「キマイラの名前が出たあたりから、どこぞの変態に耳打ちされてな」
「感謝したまえ、クライフ君。君達の痴態は私の囁きによって知られることはなかったのだよ! まあ? 君がつい今しがた告白してしまったわけだが、それは私の責任ではないからねぇ」
「ジーナ。そういうことならもう少し早くいってくれないか? 昔からだが、君もいい性格をしているよ」
「お褒めにあずかり光栄だね」
「褒めてねぇだろ」
「褒めてはないさ」
どうでもいい突っ込みが重なる。
「一応、説明しておくとキマイラの毒をもらったんだ。解毒剤の準備なんてしてなかったから、大変だった。引き返そうにも距離があったし、足場も悪くて時間が掛かるのは明白で」
「1人ならまだしも、2人も毒に掛ったんじゃ動きようがないわよ。担いで移動できればよかったんだけど、残ったのがエリックとフェリシアじゃね。逆ならどうとでもなったのに」
「その場合だと私達の命は危なかったでしょうね。お2人には薬の知識などなかったのですから」
「それに日も落ちてたのに灯りはどうするつもりです? あの風です。蝋燭なんか途中で消えちゃいますよ?」
「うっさいわね! アンタは自分の薬のマズさがわかってないの‼ せめて魔法でどうにかしなさいよ‼‼ 毒以前にあの薬のマズさで死にかけたんだからね‼‼‼」
「擁護するわけじゃないけど、確かにあの薬は2度とごめんだ」
「っていうかね! アンタがアタシをちゃんと守ってれば担いで帰れたのよ‼ 間に入ってきて視界を塞ぐだけ塞いで、それで毒が飛んできてちゃ意味ないでしょ⁉」
「ぐっ・・・! 面目ない・・・・・・」
「あれは仕方がなかったってことで決着がついたじゃないですか! まさか液体じゃなくて、霧状で飛んでくるなんて。予想不能ですよ」
なぜだか話が逸れ、癇癪を起すアンナを宥める会となっていた。
元凶は間違いなくケタケタと笑うジーナのせいなんだが、言及してもいいことはなさそうだ。
とはいえ、元の話題も飲み込むには時間がかかる。
いったん頭を整理しつつ、機を見て話を戻すとしよう。




