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替わりはなし

 バフォメット。

 山羊の頭に人の身体を持ったモンスター。

 中には羽根を持つ個体も存在しているらしく、一部では悪魔と呼ばれているそうだ。


「ふふふ、そう思いますよね! 私がこの話を聞いた時にも同じように思いました! 結論から言ってしまうと、バフォメットの体は大きく、人の2倍くらいはあるだそうで、連続する稜線はバフォメットにとって収まりの丁度いい休憩場所のようになっていたんだとか。持ち帰えられた角を見たことがありますけど、1M以上あって確かに人とは違うなって思わされました!」


 そういうんなら嘘じゃぁねぇんだろう。

 しかし、今まで遭遇例が少なかったバフォメットがそんな近くにいたとは。

 俺も実物を見たことはねぇな。


「話の感じからして、苦戦したんよな?」

「そう聞いています。人型をしたモンスターは一芸に秀でていることが多く、油断してはいけないとよく言われますが、バフォメットは精神魔法を得意として、幻覚や催眠操作が危険なモンスターです。仲間が減ったばかりで相手をするには相性が悪かったでしょうね」


 精神魔法。

 こんな所でもか・・・と、少し呆れる。

 また変な繋がりもあったもんだ。


「それで苦戦した理由は?」

「バフォメットの精神魔法は特に女性へ効きやすい性質を持っているらしく、前衛のアンナさんの動きに支障が出たことで、折角見つめ直したはずの連携が上手く機能しなかったそうです。一瞬、一秒の遅れがどうしても噛み合わない。そのせいでアンナさんの攻撃がクライフさんやフェリシアさんに当たりそうになったりと散々だったと」

「そりゃ危ねぇな」


 剛力無双のギフトを持つ奴が振り回した鋼鉄の塊みたいな剣にぶつかったりした日にゃミンチになっても不思議じゃねぇ。

「本来なら前に出た仲間の隙を消すための援護が、邪魔になってしまった形ですね。こうなってしまった原因は連携を煮詰めすぎたせいだとおっしゃっていましたよ。完璧な連携を目指し過ぎたんだと。余裕をもって臨機応変に。そういうのを忘れてしまっていたと」


 悪いことだとは言わねぇけどな。

 長い行列とドミノ倒しみたいなもんだ。

 綺麗に並んでるうちはいいが、躓いて倒れれば歯止めが利かねぇ。

 きっちりしすぎれば、途中が詰まるだけで一気に総崩れとなるいい例だ。


「最終的には、バフォメットの精神操作は額にある星形の印を起点に対象へ効果を与えているということをエリックさんが見破ったおかげで、印を破壊しての撃破に成功したそうです。アンナさんも目を見ないとか、鳴き声を聞かないとか、魔力で全身を覆うとか、色々と試してみたそうですが、あまり効果がなかったみたいで。この話をする時に悔しがっていたそうです」

「ふむ。それで言うとフェリシア君はどうだったんだい? 彼女も女性のはずだろう?」


「フェリシアさんはその・・・精神が強いといいますか。聖職者なので効果を受けなかったのではないかと」

「アイツはアレで頑固な上に現実主義だからな。自分の目か信じた相手からの言葉しか信じねぇ。そのせいで精神魔法の掛かりが悪かったんだろう」

「いいことのように聞こえるけれど・・・実際には危ういね?」

「1度信じたもんはそうそう覆さねぇからなぁ。守りが硬い分、落とされたら取り返しにくい城みてぇなもんだな」


「恐らくドラゴンはバフォメットよりも強いはずだ。平気だと思うかい?」

「対策でも考えおくさ。あの魔法も万能じゃねぇのは確認済みなんでな」

 不穏な会話は小声で行う。

 職員には聞き取れなかったのか、お城の例えはお見事ですね! とお褒めの言葉だけを賜った。

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