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思っていたより・・・

「ぐっ‼ くぅ、まだ‼」

 有言実行。

 サンは俺にまとわりつくように粘って戦い、

「今だ‼」

 指揮を執ることで、駆け出し6人では不可能だった連携を間断無いものにしていた。

「はっ!」

「シッ‼」

 合図に合わせてキューティーが突き込み、離れると同時にジェイドが切り込んでくる。

 その間もサンは付かず離れずの位置にいて、相手をせざるを得ないわけだが・・・、

「大変そうだな?」

 そもそもサンの武器は両手剣。

 いつもは攻撃メインなんだろう。敵を引き付ける動きがぎこちなく、故に連携を加味しても脅威には程遠い。

「いつものことさ!」

 わかりやすい強がりだが、他に言えるようなこともねぇか。


 本来なら盾持ちの役目。

 だが、駆け出しの中で盾を持ってるのはジェイドだけ。

 キューティーの魔法盾は護身用程度のものだからな。

 その上で、ジェイドには実力が足りない。

 装備があってないのもあるが、俺に張り付く技量がない。

 だから、仕方なくサンがその役を請け負っている。が、一番歯がゆいのはあいつ自身か。

 駆け出し6人の攻撃で、有効なのは魔法使い2人の攻撃魔法ぐらいだ。

 ジェイド、キューティーとの連携はうまくいっているが、当たることはないし、この2人の攻撃は当たったところで大したことはない。

 これはヨハンにも言えることだが、サンのように大の大人と言える体格から繰り出される両手剣の一撃なら、当たれば態勢も崩されるし、当たり所によってはそれだけで決着にもなりうるが、まだ体の成長しきっていない3人の、しかも片手剣では怪我にすらならない。

 それをわかっていて、尚そうするしかない。

 ならば、俺はサンの動きに注目して妨害や回避を行い、他は最低限でいい。

 魔法は上からってのを警戒していれば、それだけでいいからな。


 ヨハンとリミアも問題だ。

 この2人の連携は十分だ。上出来と言ってもいい。

 ただし、2人だけ・・・ならな。

 現状2人は浮いた駒だ。

 ヨハンは頑張って顔を出してはいるが、ジェイド達に比べたらいまいち噛み合ってない。

 リミアに至っては魔法の性質上、横方向に空きがないと打てない。ケイトのような直上攻撃も、水を使うとその後、流れが生じるせいで手出しが出来なくなっている。

 実際にこういうことはよくある。

 この間の緊急依頼のように、大規模になればなるほど特に。

 そして、それを体験したここにいる全員が、そんなことはわかっているんだ。わかった上で、こうなっている。


 だったら、終わらせるべきか?

 冒険者なら出来ることをやれ、だ。

 今であれば、魔法使い2人で意思疎通を図り、新しい策を出すこと。

 その想像力を使ってこっちの予想を超えることだが・・・。

 そう思って探すと、視界の端で2人が揃っているのを見つけた。

 随分と冒険者らしくなったもんだ。

 なにを見せてくれるのか? そいつを打ち破って、勝って終わろう。


 そのためには・・・、

「ぐはぁっ⁉」

 サンを蹴り付け、

「きゃぁあ⁉」

「がは⁉ クッソ・・・‼」

 ジェイド達も退け、

「どうした? こんなもんか? だったら、終わりにしようぜ。時間の無駄だ」

 ピンチを演出し、隙を作る。

 視界の端から後衛組が消えたのは確認済み。

 さらに、もう終わりにしようと言えば、次のタイミングで仕掛けてくるだろう。

「気が早いですね? まだこれからでしょう‼」

 予想通り。

 リミアが声を上げる。

「本気でいきます‼」

 サンと一緒に挟み込む形で、女王蟻の前で見せた魔法を構える。

 あれは広範囲に及ぶ大洪水。圧倒的水量は威力こそあるが・・・。

 仲間ごといく気か?


 だが、それを見たサンがすかさず突っ込んできた。

 それを籠手で受け、競り合いになる。

「なんだ? 死なば諸共ってか?」

「どうかな? 甘く見過ぎると、痛い目を見るぞ?」

「言うじゃねぇか・・・」

 弾き飛ばそうと、地面を強く踏み込んだ瞬間、

「うぉッ⁉」

 ズルッ! と足が滑る。

「ッ‼ ハァッ‼」

 それに合わせてサンが剣を振り払う。

 俺の立っていた位置から後ろに数メートル分だけ、地面がぬかるんでやがった。

 そのせいで踏ん張りがきかず、大きく態勢が崩される。

「ここだぁ‼」

 続け様にジェイドがシールドバッシュ。

 受ける以外の選択肢はないが、止める必要はない。

 伸ばした左手で受け、足は浮かせる。

 衝撃を利用して後ろに飛ぶが・・・さらにその背後から、シュンシュン! と闇魔法が飛んでくる。

 それを魔法障壁を使って制御を奪い、追撃に来ていたキューティーを迎撃。


 顔を上げると、

「怪我はしないでくださいね‼」

 眼前には荒れ狂う波が迫っていた。

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