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side――ジェーン

 僕は慢心を自覚した。

 少し攻撃を防いだだけで、いい気になっていた。

 それを続けることが、どれだけ神経を消耗するか・・・まだ知らなかったんだ。


 仲間を信じて行動する。

 それは、本来そう簡単なことじゃないはずだと、僕は思う。


 だってそうじゃない?

 相手がどう動くか・・・そんなのはわからない。

 敵でも、味方でも。

 たとえ同じ展開や結末を想像していたとしても、その道中や手順は違うかもしれない。

 だから声に出して確認する。


「左腕! 僕が受けるね‼」

「うん! それに合わせて目を狙うよ‼」

「わかった! じゃあ押し返さないから‼」

 最初はそうしていたはずなのに・・・・・・。


「右足! 来るよ‼ 避けて‼」

「大丈夫!」

「前蹴りだ‼ 押し返すよ‼」

「合わせるね」

 でもなんだか・・・。


「踵落とし⁉ あんなのは防げないよ⁉」

「・・・わかってる」

「くっ⁉ 腕も振り下ろし始めた⁉ 距離に気を付けて‼」

「狙い目だね・・・」


 バロン君は言葉にしなくても、僕の動きがわかるみたいに―――。

 どんどん動き出しが早くなっていく。

 先に動いてるはずの僕の方が置いて行かれそうなほど。


 これじゃまるで、仲間を信じて行動するっていうより、仲間の行動を信じてるみたいな―――。

 なにが違うのかって言われたら難しいんだけど・・・そう、たとえるならバロン君によって動かされているというか、動くことを強いられているというか。


 怖い。

 僕が失敗したら彼はどうなるんだろうっていう思いが湧き上がる。


 バロン君はどうしてそこまで僕を信用できるんだろう?

 僕みたいな男女。

 貴族の親を持つ庶民。

 そんな中途半端な存在の、どこをそんなに信用できるんだろう?


 自分自身のことでさえ、わからないことばかりなのに。

 君にはなにが見えてるんだろう? 僕がどう見えてるんだろう?

 その行動が悪いことじゃないのはわかるんだ。

 敵を押さえられてもいるから。


 でもやっぱり、不安にはなる。

 もう精一杯なんだよ!

 この上なく一生懸命やってるんだよ!

 君の期待に応え続けられるかなんて・・・僕にはわからないんだ!

 言葉にはならないそんな思いがある。


 信頼は重い。

 いつかそう言っていた父の言葉の意味をこんな時に実感した。


 手に汗握るっていうのは多分、こういうことなんだろう。

 一刻も早くこの状況が終わって欲しい。

 それだけを考えながら必死に食らいつき続けた。


 都合4度。魔法攻撃の支援を得て。

 ようやく―――終わりが見える。


 手に宿った温もりは、既に燃え上がり焼け焦げた。

 湧いてきた力さえ、最早尽きようとしている。

 でも・・・でも、立っていなければ!

 だって‼


 敵が! 仲間が! 立っているのだから‼

 僕も同じように懸命であるべきだ‼


 酷く傷付いた敵を前に、また僕らは進んで立ちはだかる。

 傷1つない綺麗な体で。

 けれど等しく、命を懸けて。

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