表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
436/945

side――栄光ある騎士団4

「それは作戦って言えんのか?」

「どうでしょう? ですが、先生から教えられた通りではありますよね?」

「意識外から最大の火力で―――だったか? 俺様が盾を持たされたのは、囮と準備の時間を作るために前線を維持する役目だとか言ってやがったな。そういえば」

「単体で威力が足りないなら工夫でもなんでもすればいい。とも言っていましたので、今回はジェイドさんにその役割を担ってもらおうかと」


「押し付けてるだけじゃねぇのか?」

「それはどうでしょうか?」

 あっけらかんと言ってのけるリミアに、ジェイドは不服そうに申し立てるが代替案もない。

 この作戦になったのも、どうにも魔法は聞かなそうだという見立てからだ。


 物理的な力で見ればジェイドはこの中では最強。一応ワイバーンならより優れてはいるが・・・、

「グルルァ?」

 最悪の場合。怪我ですまなさそうなんだよな・・・と思ってしまうジェイド。

 硬く、重い装備を身に着けた自分が最適なのが、なまじ理解できてしまうだけに強くも言えない。

 だが、危険だ。


「いくら気付かれねぇからって人間砲弾ってのは・・・」

「ジェイド様なら確実ですわ‼」

「いや、まぁキューティーの言う通り? 俺様なら余裕だけどよ・・・」

「そうよね? あなたならできるわ! 自信を持ちなさい!」

「おいエイラ‼ 笑ってんじゃねぇよ‼」


「なんのことかしら? ねぇ?」

「・・・言いがかりは良くない」

「ケイト! お前もこっち向いてみろ‼ 肩が揺れてんだよ‼」

「僕も! ジェイドさんになら任せられると思います‼」


「お前は一緒に飛ぶんだぞ⁉ ヨハン‼‼」

「ええ⁉ なんでですか⁉」

「なんでですか⁉ じゃねぇ‼ お前から離れたら気付かれるんだろうが‼ 途中で気付かれたら、さっきのワイバーンみたいになって終わりだろ‼」


 作戦は簡単だ。

 適当な発射台を作ってジェイドとヨハンをリミア達の魔法で打ち出すだけ。


 ジェイドの装備は重鉄鋼で出来ている。

 魔力操作で重量を変えられるため、撃ち出す時は軽く、直撃する時には重くすれば効率のいい攻撃を継続して繰り出せる。

 ヨハンとの距離が遠くなりすぎるとドラゴンにバレるので、ヨハンも一緒に撃ち出す。


 懸念点はヨハンを撃ち出す都合上、リミア達射出班がドラゴンに見つかってしまう可能性があると同時に、発射台の存在も露見してしまう恐れがある。

 そうなるとドラゴンに攻撃がどういうものか予想されるかもしれない。

 だからせめて、リミア達が気付かれるのは仕方ないとしても。

 発射台は瓦礫に偽装したり、魔法で土を固めて作り、射出と同時に解体できないかを試してみる。


 ここまでやってよくバレないな。と全員が関心すら覚えていると、

「うわぁああっ‼‼」

 短い悲鳴が響く。

 見れば、クライフがドラゴンの腕に払い除けられるようにして吹き飛ばされていた。


 まずい‼‼

 ジェイド達に緊張が走る。

 まだ発射台の施策が終わっていない。

 しかし、クライフ達や他の冒険者も見捨てるつもりはない。


 こうなればぶっつけ本番で?

 だが、どう考えてもこの人間砲弾は直線軌道しか描けない。

 悟られればもう後がない・・・っ! どうすれば⁉


 音が止まるような感覚の中、

《またか・・・・・・》

 ドラゴンの様子が変わる。


《よくも飽きぬものだな? 人間というものは・・・》


 もしや、バレたか⁉

 ヨハンの力を過信してやりすぎただろうか⁉

 胸を貫く不安が痛い。


《しかし、今一度聞こうではないか。我らは世界を担う一翼。故に寛大であらねばならぬのだ。して・・・汝こそは、理に反するものは連れて来たのだろうな?》

 なのに、ドラゴンはこちらを見ない。


 代わりに、

「・・・・・・・・・さぁ? なんの話だ?」


 聞き覚えのある。

 けれど、ここにはいないはずの声が聞こえてきた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ