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何度となく繰り返す教訓

「誘きだせねぇと勝負にならねぇってことかよ? あんな片方が死にかけの状態でも‼」

 2匹同時でも問題なく勝てると言ってほしかったのか、ジェイドは俺の解答には不服なようだが、

「どうだろうな? やってみりゃ案外どうにかなるかもしれねぇが・・・状況的にそうはならねぇんだから、議論するだけ無駄だ」

「どういうことだよ?」

 どちらにせよ、2匹同時はもうあり得ない。


「お前が言ったように、2匹いるニアラプターの片割れは瀕死・・・とまではいかねぇにしても、あれだけの傷を負ってりゃ体を休めるだろう。じゃぁそうなった時、もう1匹はどうしてると思う?」

「それは・・・・・・看病でもするんじゃねぇのか?」

「もっと自分のことだと思って想像してみろ」


 ジェイドの後ろにいる仲間を指差して、

「誰でもいい。仲間が怪我をして動けない。だが、他の仲間とは逸れて2人きり。周りには怪我を負った原因のモンスターがいるって状況だ。さて、お前なら・・・どうする?」

 ここまで明確にすれば、流石に誰でもわかるはずだ。


「そりゃあ仲間は安全な場所に寝かせて、俺様がそこを守るしかねぇだろ」

「そうだよな? ってことは・・・?」

「ッ‼ それなら最初からそういえよ‼」

 そして当然だが、その誰でもにはジェイドも含まれる。


「俺としては、こんな話するまでもなく気付いて欲しかったんだけどな?」

「ぐっ⁉ けど、危なくなったら仲間を呼ぶだろ⁉ その時はどうなんだよ‼」

「さっきも言ったが、お前は同じ立場だったとして。仲間を呼ぶか?」

「それは――」

 反射的になにかを言おうとして、だが考えたんだろう。その場面を。


「・・・・・・呼ばないな」

「そうだろ?」

 俺も同じく呼ばないだろう。


 理由はいくつかあるが、まず。

 1対1で敵わないことが最初の時点でわかってること。

 これはもう1人の実力が自分と同等だと考えての話だが。相手はモンスターで、個体差もそれほど感じられなかった。だから、この予想は大きく外れてはねぇはずなんだ。


 そして、そうなった場合。

 自分1人で勝つこと。及び、無事に撃退できる可能性は極めて低い。っつーことが理解できるだろう。

 その状況で選べる選択肢は、無理を押してでも2人で迎撃するか、敗北を承知の上で標的を逸らすかだ。


 もちろん。ベストを言えば、敵の気を引きつつ仲間の安全を確保し、尚且つ自分が敵から逃げ切ることなんだが・・・ジェイド達の人数を考えればニアラプターに逃げ場はないと言っていい。

 ましてや、あの2匹は番。つまりは恋仲だ。

 どっちが雄だとかは知らねぇが、相手に無理をさせるとは思えねぇ。それこそ、死ぬ気で守るだろうさ。


「だから、お前らは依頼を更新して、内容を2匹討伐に変更してもらえばそれでいいんだ。1匹相手に負けねぇのはもうわかっただろ? 後は寝床にいるだろうもう1匹をどうするかだけ考えればいい」

「死にかけの方を? それこそどうにでもなるだろ」

「何度でも言うが、イメージしろ。自分が敵に怪我を負わされて、大切な誰かに『しばらくここで休んでろ。その間は守ってやる』とか言われたにもかかわらず、目の前に敵が現れたとしたら、どう思う?」


「そんなのあんまりですわ⁉」

 聞くや否やキューティーが悲痛な叫びをあげるが、まぁそうだろう。

 普通に考えれば、その大切な誰かはすでに死んでいると思うはずだ。

 都合よく利用されてたり、裏切られてたりしねぇ限りはな。


「・・・・・・絶対に殺してやる」

「まぁそういうことだ。手負いであればある程、命の危険は顧みねぇ。むしろ、自分の命を代価にどこまでやれるのかを実践してくる。だから、手負いの相手は油断が出来ねぇってことだ」

 本気とはまた違う”全力”を見せつけられる。


「ですが、2匹と同時に闘うことをあり得ないと切り捨てるのも、おかしなことでしょう? だって私なら、大切な誰かが自分のために戦っているのを知れば、寝てなんていられないでしょうから」

「そのための方法を知りたいって顔だな?」

「当然でしょう? それとも、試験官だから教えられない。とでも言うつもりでしょうか? 先生?」


 挑発的な笑みを見せるリミアに乗せられて、

「直接的な攻略法は教えねぇよ。ただ、これでも教育係なんでな。お前らのやりたいって言うことを実現するための助言ぐらいはくれてやるよ」

 俺はまた、そんな言葉を口にしてしまった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 手取り足取りだから、独り立ちは無理だね~
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