退治10
「嘘を、・・・・・・吐くなっ! そんなはずが―――⁉⁉」
「本当にそう思うか?」
実際のところは知ったことじゃない。
ただ、事実を繋ぎ合わせればそうなる。
「そんな、そんなことが・・・・・・ッ‼‼」
疑心は毒だ。
際限なく内側を食い尽くし、いつか肚を食い破る毒。
罹れば二度と治ることはねぇ。
「どうやら思い当たる節ぐらいはあるようだな?」
こうなればもう、真実なんざ要らねぇ。
適当な言葉でも心を壊すことができるだろう。
現実にまで浸食するほどの精神を、粉砕することが。
「だったら話の続きと行こうぜ? その力にどうやって気づいた?」
「そ――・・・・・・それに、何の関係があるッ‼‼」
「俺にはねぇさ。俺にはな」
そもそもどうやって気付いたかなんてこと、皆目見当もつかねぇ。
だが、
「ギ、グィ・・・ン・・・・・・」
持ち上げた腕の中を見せる。
認識ではコイツの妹だ。
「―――ッ‼‼」
「お前の家族は見てただろうな。もしかすりゃぁ最初に使われたのは――」
「やめよ‼‼」
断ち切るような絶叫。
「やめねぇよ。使われた奴がどうなるか・・・。お前は知ってるか?」
まだ見足りないだろ? と、再三に渡り見せつけるは砲竜。
姿を変えれられた、哀れな末路に違いねぇ。
「違う! 違うっ‼ そんなはずがない‼‼ そんなはずがあるわけがない‼‼ でなければ、気付かぬはずが・・・・・・」
「ところで話は戻るがな。なにもねぇ世界に居るとな、感情と記憶が消えるんだ。やることがねぇからな。忘れたくない、失くしたくないと思っても、会話さえままならなくなって、いつかは区別もつかねぇ誰かの1人になる。恐ろしい話だとは思わねぇか? なにより、使い捨てられたら―――」
「そんなはずがないと、言っているだろう‼‼」
「・・・・・・じゃぁコイツは嘘吐きってわけか」
「な、に・・・?」
「今の話はお前の内側で、コイツから聞いた話だ。ついでに懇願もされたぜ。忘れたくない、一緒に居て欲しいってな」
「~~~~~~~ッ⁉⁉⁉」
口をパクパクと、魚にでもなったつもりか。
「初めは両親と居たが、次第に話せなくなって兄を探しに出たらしい。兄は王になるほど優れてるから、きっと助けてくれるだろうってな。けど、俺に話しかけてきた時には、そんなことすら忘れてた。そのことに気付いた瞬間、コイツは泣きそうな顔で言ってた。どうして忘れてたんだろう? ってな」
道具として扱われることへ抗議の視線を手元から感じるが、
「一体いつから忘れてて、どれぐらい彷徨ったんだろうな? そしてまた、忘れるかもしれねぇって絶望感はどれほどの恐怖だったのか・・・俺には、計り知れそうもねぇ」
最期の願いを叶えるためには仕方がねぇんだ。
許してくれとは――・・・思わねぇがな。




