ようやく脱出
※9月7日一部表現を修正しました。
「取り敢えず1番最初に来た所に戻るか…」
やはりいつも通り、適当な考えをする蒼始。
だが、何もしないよりはマシだ。
最初来たところから暗い方へ進んで行くと出口ではないだろうかと予測を立てて、特に考えもせずに戻ることにした。
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あれから蒼始はずっと歩き続けた。
もう最初に来た所はとっくに過ぎ去っているだろう。だが、蒼始はそれでも歩き続ける。
ここを作った人に「何でこんなしんどいものを作ったんだよ!」と言いたい気持ちは既に何処かへ消えてしまっているし、言ったところでどうにかなるものでは無い。
5,6時間いつまで経っても変わらない道。
しかし、より暗い方暗い方へと進んでいってるので、あの綺麗な部屋よりもかなり暗くなっているだろう。その暗くなっている事だけが、出口?かもしれない所へ進んでいるのだと実感できる。
「み、水が欲しい…」
身体的にも精神的にも疲れた蒼始は遂に座り込んでしまった。
普通の人ならとっくに歩くのをやめていただろう。それを蒼始がやめなかった理由は、中学からバスケをしていたんだから歩くだけで疲れるような体力は持っていないという変なプライドがあったからと、歩くのをやめてしまうと、もう一度歩き始める事はできないと思ったからだ。歩くのをやめたからといって体の中の水分はどんどん減っていくものだ。
しかしそれだけでは歩き続ける事はできない。歩く事ができたのは他の人よりも無駄に強い蒼始のメンタルと、実は「異世界から召喚された者」という称号効果により身体能力が元々よりほんの少し上がっていたからである。超鑑定で調べれば出てくるのだが…
(食料も水も無い。何処まで続くんだよこの道…!)
喉がくっつく様な感覚もある。唾に粘り気が出てきて、呑み込もうとすると喉が詰まる。火照った体にじめじめしている空気はかなりの不快感を覚える。
まだ気温は低めということだけが救いだ。
さて、読者の皆は気付いただろうか?こんな問題なんか今の蒼始なら簡単に解決する事ができる。
ただ、それに気付けないのは今まで蒼始の現実にファンタジー要素など無かったからだ。
そう、想造魔法と収納の指輪の事である。
想造魔法を使えば水も出す事ができる。
収納の指輪には使っていた勇者が何故か料理コレクションや大量の高級保存食を仕舞っていた。
この事に蒼始が気付く事ができたのは、しばらくしてからの事だった…
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「あぁ〜!もう自分の阿呆!ここはファンタジーの世界なんだぞ!こんな死にそうな思いする事無かったじゃねえか!」
そう後悔しながらまた道を歩んでいく。足取りはなんだか軽快だ。
初めて魔法を使えたのだ。テンションが上がらない訳がない。
それに、蒼始のイメージは超鑑定が説明した通り完璧だった。
容器、見た目、味、匂い等々…よく飲んでいるからわかっている。
見事に3つの矢がある某炭酸飲料を出す事ができた。ちなみに蒼始はコーラよりもこっちの方が好きだ。
渇ききった喉にこのジュースは滅茶苦茶美味かった。
しかしその後、蒼始はやらかしてしまった…
なるべく強炭酸の方が好きな蒼始は出来心で想造魔法を使って二酸化炭素をジュースに直接溶かしてしまった。
その結果…
「ごはっ!」
勿論むせた。そりゃそうだ。途轍もない炭酸の刺激で渇きとは別のダメージをを喉に受ける。
挙句の果に、飲むのは危険だと思いキャップを閉め、でも「勿体ないから」という理由で覚悟を決めて、ジュースを飲もうとキャップを開けると、炭酸のせいで中身が噴出して、ジュースを被ってしまう事も起きた。阿呆丸出しである。
何はともあれ、この事のお蔭で、想造魔法や収納の指輪を使う事を覚えた蒼始。ついでに想造魔法でどの位MPを使うのかを知ることができた。
そして炭酸飲料に炭酸を更に足すとどうなるのかも…
「悪戯に使える」と、密かに思っていたりもしている。
収納の指輪に料理コレクションや高級保存食があった事には閉口した。
だって(自主規制)と食べ物が入っているのである。誰が食べたいと思うのか?食事のマナーもくそも無い勇者。
勇者は文字通り勇敢な者だったようだ…
しかし、蒼始も覚悟を決めて高級保存食を食べた。
案外なかなかに美味しかった。感覚はおつまみだ。干し肉は蒼始自身食べたことはないが、塩辛いイメージがあった。しかし絶妙な塩加減、肉の旨味、香ばしい香り、全て完璧だった。食べている途中にも「塩こんだけで保存できるのかよ…」とも思ったが、そんな心配よりもただ美味しいという感情が勝ってしまった。
(自主規制)と一緒に収納されていたということはとっくに忘れている。
運動後の塩分は体中が喜び、もっとくれとも言わんばかりに飽きるまで食べまくった。
最初より気分ウキウキ状態で進んで行く蒼始。
歩くペースも上がり、遂に終点が見えてきた。
「やっと…着いた…ってかまたまた魔法陣かよ…!」
辿り着いた所はまた魔法陣があった。
仕方ない、便利な物なので何にでも使えるのだ。しかし魔法陣にも種類はある。ただ、今回は転移用が多かっただけである。
蒼始はその魔法陣を躊躇いなく踏んだ。もう4度目である。転移は慣れてしまったようだ。
そしてここは出口だと蒼始の勘が言っている。
蒼始の視界が無機質な光で覆われていった。
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目を開けると、
「おいおいマジかよ…!」
なんの変哲もない平原の上に転移していた。
ただ、教科書の写真で見る遊牧地みたいな、とてつもなく広かった。
しかし、問題は天気だ。小雨だが雨が降っていた。
だが蒼始は、
「良い天気だな、良いことありそうだ♪」
と喜んでいた。
何故かというと、蒼始は晴れより雨の方が好きなのである。
雨の音、景色、空気、雰囲気全てが好きなのである。
それに何故か雨の日は蒼始にとって良いことが多い。
初めてマラソン大会で入賞したのも雨の日だ。バスケの大会で活躍できたのも雨の日だ。
ただの思い込みかもしれないが、それでも何かあるんじゃないかと蒼始は思っているが、それは不明だ。
「ん、何か紅茶飲みたくなってきたな。」
蒼始は紅茶が元々好きだ。だが、今飲みたくなってきたのは、カッコを付けたいからである。
雨が降っている外の風景を見て、しみじみとしながら紅茶を飲んだり、JAZZや洋楽を聞いたり、勉強をしたりすればカッコいいと思っている。
ちなみに蒼始はこの事を誰か同感して欲しいらしい。
「傘を想造魔法で出してっと、いや待てよ?収納の指輪に馬車あったような……あったあった!」
収納の指輪から馬車を出す蒼始。本当に便利だと思いながらも、これを使用した勇者に腹が立つ。
「これ結構デカイな!?馬車ってこんなもんなのか?まあ、これなら安心して休めそうだ」
馬車の中は綺麗に整頓されていた。かなり広く、余裕で十人は入っても余裕がありそうだ。
ちなみにこの馬車は王国が勇者に支給したものなので高価だ。普通の馬車とサイズはかなり違っている。
「馬車の中ってベッドがあるもんなのか。」
いや、勿論普通の馬車には無い。勇者が我儘で取り付けたものだ。
入って一目見たベッドを凝視した後、一目散にそこへ寄りジャンピングして飛び乗った。
「ふかふかだぁ………疲れた…今日の俺よく頑張ったなぁ……」
長時間歩いた疲労も溜まっていた蒼始は、そう言いながら、雨が奏でる気持ちの良いBGMと共に天国の様なふかふかベッドへと意識を手放した。
少し前に出していた話は後々読み返すと、自分でもどうかなぁ〜と思う所があったので全文変更しました。
申し訳ございませんm(_ _)m
魔法陣に頼りすぎでしたね笑
今後気をつけるようにします。




