不安しかない
「いや、まあその時の勇者みたいな気持ちでいればいいんだよな〜。俺も少し突っ込みすぎたかな〜ハハハ…」
どうにか言い聞かせるが蒼始の目は死んでいる。
そう我慢してまで使いたい程、この指輪は便利なのだ。
たとえ幾ら便所に落ちていようと…
「まあ、洗浄しておけば大丈夫か…それでもなんか嫌だけど…」
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あれから蒼始はこの部屋の中にある物全てを指輪の中に詰め込んだ。この指輪はオリジナル製らしいので、容量制限などはないらしい。
そして、便利そうな物は指輪以外にも装備しておく事にした。
というかほぼ便利な物だった。
隠していた王様はアイテムコレクターのようで、先程の聖剣や指輪だけでなく、凄そうな調理器具やライ○セイバーの様な物まであった。
ただ、あの聖剣や指輪程とてつもない効果を持っていた物は少ない。
超鑑定の説明文には必ず何か黒歴史のようなものが書いてあるらしいので気にはなるが、使いたくなくなるかもしれないので完全に無視した。(チラッと見てしまったものもあるが、聖剣や指輪に比べたら流石にまだマシだった。)
こうして装備したものは、
・幸運になるミサンガ
・視力がかなり良くなるネックレス
だ。
めっちゃ少ない。決して説明文を見たからではない。
幸運になるミサンガはどこにでも付けることができるのと、得ができるなら得しとこうという、関西人の考え方からきていた。
視力が良くなる装備なのに、何故ネックレスなのかという疑問はあったが、剣と魔法の世界だからと思って気にしない事にした。
ネックレスはつけてみると、望遠鏡で遠くを見ているような感じで見えるようになった。倍率の変化も自由自在なので面白いと思った蒼始はズームインやズームアウトしまくって遊んだ。その結果、勿論酔った。
「さて…こんなもんかな?」
辺りは元々あった物が全て無くなり、すっからかんになっている。蒼始はお構い無しに全部綺麗に仕舞った。本当にがめついのであった。
「そろそろお暇するかぁ、ってあれ?どうやって出るんだ?」
魔法陣で入ってきたので出方がわからない蒼始だが、右往左往していると、部屋の隅に色の違う壁があった。それをなんの躊躇いもなく押してみると、ゆっくりと床に魔法陣が浮かび上がり、驚きながらも3度目の転移が起きた。
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「戻って…来たな…。俺、当たり前の様に転移してるけど、ホントにここは異世界なんだなぁ。」
再びあの綺麗な宝石がある部屋に戻った。
「この宝石って取れないのかな?」
戻って早々にそう疑問に思った蒼始は、取り敢えず近くの宝石を掴んで揺らしたりしてみた。が、ピクリともしない。
それもその筈である。王様がここを作るときにこの宝石を発見したのだが、持てる技術をすべて使っても取れなかった。
ここの宝物庫を作った国の王は、ある分野での土魔法の世界最高峰の使い手だった。
その王は子供の頃から何故か戦闘方面で土魔法を使用する技術は全く伸びなかった。
だからその王は、戦闘で使えないのなら土木建築等に使えば良いと思い、建築技術を磨きまくった。
物覚えの良さや技術の高さによって周りの人を驚かせながら努力していると、色々あって最終的に王様になっていた。
それでも取ることができなかった物を掴んで揺らすだけで取れるわけなんて無いのである。
何故取れないのかと言うと、この土の中には更に沢山の宝石が隙間なく詰まってあり、それらがお互いに魔力で結合し合っているからである。
1つ1つ結合しているためとても強固で、しかも1つだけを取ろうとしても、必然的に他の宝石も一気に引っこ抜けてしまう為、土が陥没し穴が崩れてしまうからだ。
そんな取るには不可能そうな宝石を蒼始はこんな方法で解決させようとしたのだ。
「これって、この指輪に直接仕舞えないかな?」
そう、その時の王様も思いつかなかった方法で採取しようとし始めたのだ。
直接仕舞えば魔力の結合なんて関係ない上、全ての宝石が動く訳ではないので、1番安全な方法だとも言えた。
「お、行けた行けた♪」
蒼始はこの宝石を取るために2ヶ月ぐらい悩んで元々薄かった髪の毛が更少なくなる程悩んだ王様の気持ちも知らず、鼻歌交じりに次々と仕舞っていく。
作業を終えると、1つ宝石を取り出し、
「おお〜!めっちゃ綺麗だ!」
元々少ない語彙が更に少なくなってしまう蒼始。
綺麗すぎて、この美しさを表現できる言葉を蒼始は覚えていない。
美味いものを「うまいっ!」としか言えないのと同じである。
この石を売って、大金持ちになっている自分を妄想して、ホクホク顔になっている。
しかし、蒼始はこれまで意識の外に無理やり追い出していた事に直視しないといけない。
宝石をGETしたところで何かが変わるという訳ではない。
というよりこれを解決しないと元も子もない。
「こんなはしゃいでるけど、俺はこれからどうしたらいいんだ…!」
この世界に来てから、やはり不安しかない蒼始だった。
色々と都合が良すぎる気もしますが、書いてたら想定してた話と逸れていって、考えている話に持っていくには無理矢理こうするしかなかったんです……
今後精進していきます……




