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黒いマッチョの誘い

前回の前書きで言い忘れてましたが、蒼始は町に入ってからはテンションも落ち着き、猫もかぶって敬語で話します。

今後、心の中では何でも言いたいこと言いますが、そういう奴だと思っていてください。


 蒼始は建物内に充満しているアルコールのツンとした匂いを感じた。

 建物の中は大きく横に広々としていて、沢山の椅子と円形のテーブルが並んでいた。どうやら食事をとっている人や酔っている人が多く見え、どうやらここは酒場も併設してあるようだ。

 また、前方に3つのカウンターがある


「ここ1階にあるのは左のカウンターから順番に見て酒場、登録や依頼完了の手続き、モンスターの解体や素材の買取やなどをしてくれる場所です。まぁ、詳しいことは多分ここの人が説明してくれると思います。それじゃあ早速冒険者登録しちゃいましょうか」


 そう言ってアンフィーは真ん中のカウンターへと向かっていった。



「おっ、アンフィーちゃん、今日も案内役か?」


「そうなんです。それで、ここにいるソーシさんは冒険者登録をしに来たんですけど今大丈夫ですよね?」


 そう言ってアンフィーは後ろにいた蒼始を紹介した。

 蒼始はカウンターにいる、身長が約2メートルぐらいはある黒く日に焼けた肌をしている筋骨隆々の男性に内心はギョッとしながらもお辞儀をした。


 まさにボディービルダー。学校の体育の先生の2倍以上はあるであろう筋肉が蒼始に恐怖を与えるには十分すぎた。


「まさかお辞儀をするとはな…… ここに初めて来た奴は大体うじうじしているか自信満々の奴なんだが、そのどちらでもなく普通にしてくるやつは久しぶりに見た。そういうやつは大歓迎だ。がっはっは!!!」 


「ちょっと、エルガーさん。ソーシさんがなんとも言えない顔になってるじゃないですか。」


「いやぁ、すまんすまん。最近依頼主と冒険者とのいざこざが多いから、肝の据わった奴がお偉いさんの仕事に行ってくれると、信頼関係も築きやすくなるんだ」


 と、エルガーと呼ばれた人は簡単に理由を説明した。

 蒼始の高校では、先生に出くわすと必ず挨拶をしないといけない決まりがある。どれだけ嫌な先生だろうと挨拶をしないといけない蒼始にとって、普通の表情を取り繕うことは造作もない事だった。


「おっと、冒険者についての説明がまだだったな。まあ、冒険者ってのは簡単にいうと魔獣関係の問題を解決したり、ダンジョンに潜ってお宝集めたり、森や山等から採集してきたりと色々自由な方法で金を稼ぐ為の集まりだ。それで……」



 そういう言ってエルガーは説明を始めた。主な内容は、



・冒険者の稼ぎ方は大きく分けて2種類ある。

 1つは素材収集で、モンスターを倒したときの皮や牙の使えそうな素材や薬草、ダンジョンで発見したもの等の色々なものをここの右側のカウンターに持っていくとギルドが鑑定して買い取ってくれる。

 もう1つは依頼をこなすと依頼主から報酬金を貰える。依頼が来たら冒険者の誰かが受注する。誰も取らない仕事があれば特定の誰かに頼むこともあるし、依頼主には勘弁してもらうこともある。ちなみに、依頼が完了できない場合、違約金を支払わないといけない場合がある。


・冒険者にはランクがあり、一番下のランクは7で、そこから順に6、5、4、3、2、1と上がっていく。

 ランクは強さというよりもどれだけ依頼をこなしたかのポイント制で上がっていき、簡単な依頼でもより数をこなせば、また依頼が難しければ難しいほどポイントが早く上がる。

 ランクが高ければ、ギルドが素材を買い取るときに高く買い取るし、ギルドにも多少融通を利かせることもできる、さらに周りの人の信頼も厚い。


 ・モンスターの強さはランクで分けられていて、Eが一番下、そこからD、C、B、A、Sの順に強くなっていく。自分の実力に合ったやつとしか戦わないようにしないと大変な目に合うから気をつけろ。

 あと、依頼の内容上戦わないといけないモンスターがいる場合、その依頼を受ける人の実力が見合わないと判断すると、その依頼は遠慮してもらって、他の人に頼む場合がある。素材収集の場合は自己責任だ。


 といった感じだった。

 ダンジョンと聞いた蒼始はあのスライムを思い出して少し背筋にヒヤッとしたものが走る。


「まあ詳しいことはその場その場で説明してやるから一先ず登録からだな」


 詳しいことはなるべく早く説明してもらった方が助かると蒼始は思うが、エルガーは全く気にしないといった様子で、「よっこらしょっ!」と言いながらカウンターの下から何か機械のようなものを取り出し、バゴォーンという大きな音を立ててカウンターの上に置いた。


 その音にビックリしたのか、周りで食べたり飲んだりしていた人がこちらの方に視線を向けた。


 蒼始は「何でそんな大きな音立てるの?みんな見るじゃん」

 とでも言いたげにエルガーに目で訴えるが、エルガーはやっぱりそんなこと気にしないといった様子で続けた。


「よし、ここに(てのひら)全部を当ててくれ」


 と言われ、蒼始は何故両手の指だろうと思いながらも両手の指を石板にだすと、石板から出た淡い緑色の光が手を包んだ。


「よし、次は名前だな。本名でも偽名でも何でもいいぞ。今後その決めた名前で呼ばれることになるからしっかりと決めろよ。」


「じゃあソーシでお願いします。」


「ソーシ、でいいんだな。ついでに二つ名でも何か自分でつけとくか?」


 二つ名と聞いた蒼始の頭の中には厨ニチックな名前が頭の中にどんどん出てきた。

 二つ名を自分でつけるというのは何か違うような気がするし、黒歴史確定になり悶える自分を想像した蒼始は、もちろん普通に断った。


「まぁ、二つ名なんて有って無いようなものだから決めなくてもいいんだがな。周りの冒険者が勝手に決めてしまう事が7、8割だ。その対策として自分で先に付けておくってのもあるが、そこから派生して格好悪すぎる名前を付けられることもあるから気を付けとけよ」


 そう言ってエルガーは遠い目をしていた。恐らくしなくてもエルガーかその知り合いがそんな目にあったのだろう。


「そうだ、お前はどんなスタイルで戦闘するんだ?」


「スタイルですか?」


「そうだ、剣を使うとか、魔法を使うとか。モンスター等と戦うときにどうやって敵を倒すのかだな」


「あまりはっきりとは決めてないですけど、剣も魔法も両方使えるようにはなりたいですね」


 やっぱり異世界といえば魔法と剣。両方使えるようになりたいと思うのは当たり前。更には想造魔法というスキルを持っているので、応用すれば様々なことが可能になると思われる。


「両方とは珍しいな。まあでも確かにそういう奴がいるとかなり便利といえば便利だしな。師匠かなんかはいたのか?」


「いないので少し困ってます」


「剣だけだったら教えてやろうか?一応この町で剣なら1番強いという自負はあるぞ?」


「確かにエルガーさんはこの町で1番強いですよね……」


「どうだ、アンフィーちゃんもこう言っているぞ?」


 アンフィーもエルガーは強いと言っていた。


 蒼始はそう言われて少し悩んだ。が、この町で1番強いとはいえ、どんな人物なのかはわからないし、こうも簡単にホイホイと言われると何か裏があるのではないかと思ってしまう。

 と、蒼始が迷うような顔を見せると、


「ふふふ、迷っているような顔をしているなソーシ。今なら一週間のお試しコース。なんとっ!食事部屋備品すべてこちら持ちで無料!一週間で自分に合わないと思ったらそこでやめてもいいし、続けられそうならそのまま続けても構わないっ!続けた場合も無料の上、特典も付いてくるぞ!」


「よろしくお願いします!」


 即答だった。テントも馬車も食べ物も指輪の中に入っているので問題ないようにも思えるが、町中でテントを広げて居座るというのもシュール過ぎる。おまけにこの町で1番強い人に練習をつけてもらえる。条件が良すぎた。ただ不満があるとすれば、教えてもらう相手が黒い肌のいかついおっさんということだけだ。


「どうしてこんないい条件で訓練をしてくれるんですか?」


「そりゃあ、新人冒険者が素材収集や依頼に出かけてモンスターに襲われて死にましたって話もよくあるからな。命の危険をどうにかして対処する方法も身につけてもらわないとどんどん冒険者はいなくなる」


「そうなんですか……」


 神妙な顔をしながら言うエルガー。冒険者とは厳しい仕事と思わせる顔つきで、手を顎に当てて喋る。


「あとは、お前さんが有名になったらここのギルドを立てるということだな!いわゆる投資というやつだ。これは本当に大事だからな、本当に頼むぞ!」


「はは…有名になったらですけどね……」


 モンスターに襲われる話よりも真剣な顔をしたエルガーのまるで有名になる前提の話を聞いて苦笑をしながら返す蒼始。


「謙虚なのも良いが、お前さんも男なら「任せてください、絶対に有名になってみせます!」とかでも言ったらどうだ?」


「任せてください、絶対に有名になってみせます」


「気持ちが籠もってない。-100点だ。と、茶番はこれくらいにして……早速部屋とか色々説明するとするか。ということでアンフィーちゃん、案内お疲れ様だ。」


「はい!そうみたいですね、ソーシさんまたよろしくお願いしますね!」


「こちらこそ、案内ありがとうございました」


 嘘臭さ満載の蒼始の返答に、今後どう関係するのかわからない減点を貰ったところで、ようやく話が次に進んだ。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 蒼始とエルガーはギルドの3階に上って来た。2階には依頼の要請や受注をする場所、小さな売店、シャワールームなどがあるらしい。

 そして3階に、蒼始のようにギルド職員から戦い方を教えてもらう人用の居住スペースがある。部屋が6つあり、現在蒼始を除くと3人がここに住んでいるらしい。

 2階や3階が説明された設備を含めて考えても、1階よりは狭く見えたため、蒼始は疑問に思ってエルガーに聞いてみると、2階と3階にはギルド職員の仕事場と居住スペースがあるらしい。



「じゃあソーシの部屋はここだ。中にあるものは何でも使っていい。プライベートは保証するから部屋の中には直接入ったりは滅多なことが無いとしないから何か必要なものがあれば言ってくれ。もしくは自分で買ってもいい。呼ぶことがあればここに置いてある電話を使って呼び出すからちゃんと出ろよ?」


 電話や時計があることにも少しびっくりしながらも、蒼始は部屋の中を見た。

 おおよそ6畳位の広さで、中にはベッドとその横に小さなテーブルの上に電話がある。他にもクローゼット、大きめの机と椅子とライト、壁には時計があり、普通に生活する分には差し支えないものだった。


「そしてこれがこの部屋の鍵だ。失くすなよ?万が一勝手に部屋に入られて物を盗られてもギルドは保証はできないからな」


「わかりました」


 蒼始は初めての一人暮らしにワクワクするというよりも、本当にモンスターに襲われない安全な寝床を確保できたというのが嬉しかったようだ。訓練はついでみたいなものだ。

 聖剣を地面に刺してモンスターを寄せ付けないようにしようが、ステルス機能のあるテントで隠れようが、この世界で何が起こるのかは全くわからない。聖剣に恐れないモンスターや、ステルス機能が機能しないモンスターもいるかもしれない。超鑑定で内容を見ようと、異世界に来て信じれるものがまだ少ない蒼始にとって、町というものは安心感を大いに感じる要素だった。


 蒼始が部屋の窓を見るともう外は暗くなりはじめ、日が沈みそうになっていた。


「それじゃあ荷物を整理したあと、早速ここのメシを食ってもらうとするか。言っとくがここのメシはうまいぞ?この町で活動する冒険者の一部は、ここのメシがうまいからっていう理由もあったりするからな」


 エルガーは蒼始の手についた指輪を見ながら言った。メシがうまい。自分の欲には忠実な蒼始は、その一言が魅力的に聴こえた。


「というわけで、この時計が18時30分になったら1階に来てくれよ」


 時計を見ると、普通の時計のように、円盤に秒針と長針と短針がしっかりとあった。ただ普通と違うのは、1から24までの数字で一周となっている点だった。

 そして現在、短針は18時辺りを指していた


 エルガーは仕事場に戻っていったので、蒼始は何をしようかと取り敢えずベッドに寝転がる事にした。


 訓練が実際どんなものなのかはわからない。しかし、好きなものや興味のあることに対しては無尽蔵の気力と根性と集中力でやり遂げる蒼始は、何が何でも強くなってやろうと覚悟したのだった。



皆さんはもう夏休みの宿題終わりましたか?

自分は全く終わってないですが元気です。


嘘です。滅茶苦茶焦っています。小説書くくらいなら先に宿題しろよとは自分でも思うので、皆は真似しちゃ駄目ですよ。


あと、今後はちょっと書き方を色々試しながら執筆するので、もし読みづらいことや面白くなかったりしたら何かアドバイスお願いしますm(_ _)m

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