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Players Memories  作者: 大虎
──が見た世界
1/2

出会う

この話は別作品「私は同室の人を知らない」

の続きです。前の話が気になる人はそちらから閲覧してください。

私が暁白狼(あかつきしろう)君に出会えたのは入院してちょうど1ヶ月が経った頃だった。同じ病室なのに1回も出会わなかった当初は彼がどんな人か気になっていたが1ヶ月も経つと流石に避けられているのかな?と感じる。

院長先生は

「シロウ君は恥ずかしがり屋なんスよ~」

なんて言っていたけど・・・

ここは山奥に建つ凄く大きな病院で食堂や中庭、

図書室に公園、さらには植物園まである。

無駄に設備が整っている。

今日はまだ行ったことがない植物園に行ってみようと思っている。そして私は軽快に歩く。


植物園は西棟に隣接するようにポツンと建っていた。

高さは学校の三階ぐらいまでの高さはあるだろうか、

思ったより大きい。中に入ると少し蒸し暑かった。

植物が住みやすいように湿度を上げているのかな?

中には色んな植物が植えられていた。そして驚いたのが植物園を、小さな世界を自由に舞っている大量の蝶

達。私は色覚異常という病気に冒されている。

私の視界は微量の白黒と無機質な灰色一色だ。

色覚異常じゃなければきっと、もっといい景色なんだろうなぁと思いながら私は前に進む。

くねくねとした坂道があって段々上に登っていく構造らしい。ザァーーーと水の音が聞こえる。無駄に立派な滝まであるとは・・・変なとこ拘ってるなぁ・・・

私は坂道を駆け上って行く。途中で蝶が私の肩に止まったりしてきた。虫は苦手じゃないけど少しビクッとした。きっとカラフルな色の蝶なんだろうけど私には灰色の蝶にしか見えない。


坂を登り終えると人を見つけた。男の子だ。背を向けて絵を描いている。私の気のせいじゃなければ彼の髪は私の目でも分かるくらいはっきりとした白色。

こちらの気配に気づいたのか彼が振り返る。15歳くらい、私と同い年だろうか。

爽やか系の、アニメの世界から飛び出したかのような

整った顔をしていた。私が彼の顔に見惚れていると

彼は一瞬バツの悪そうな顔をしたが、優しそうな笑顔でこちらを見て〝こんにちは〟と挨拶してきた。

その言葉にハッと我に還った私は挨拶を返した。

私は彼に

「絵を描いているの?」

と訊ねた。

彼は〝うん、ここの植物や蝶はとても綺麗だからね。

それに、ここは人が滅多に来ないから静かに絵が描けるんだ〟

「もしかして邪魔だった?」

私は恐る恐る聞いてみる。

彼は〝ううん、そんなことないよ、君が居たいなら居ていいよ。僕が怖くないなら・・・〟と言う。

「怖い?どうして?髪が白いから?」

彼は不思議そうに私を見て少し悲しそうな顔をして〝この容姿だから人に怖がられちゃうんだ。だからいつも人目に触れないようにしてるんだ〟

髪が白いというだけで怖がられるとは何とも可哀想な・・・確かに私に近い年齢で髪が真っ白だったら驚くかもしれないが・・・

「私は気にならないわ。目の病気だから・・・」

彼はバツが悪そうな顔をして〝目が見えないの?〟

と遠慮しがちに聞いてきた。

「ううん、違う違う。色覚異常っていう病気で視界が灰色にしか見えないの。だからあなたを怖いとかそんなことは感じないよ」

彼はまたバツが悪そうな、そして納得したような顔で

〝そっか・・・大変だね〟と慰めの言葉をかける。

「そういえばまだ名前言ってなかったね。

私は灰原優美(はいばらゆうみ)、17歳。

貴方の名前は?」

彼は驚いたというように目を丸くする。

そして名乗った。〝暁白狼(あかつきしろう)、17歳〟

今度は私が驚く番だった。彼が暁白狼君だったんだ。

「暁君って・・・私と同室の?」

暁君は申し訳なさそうに言う。〝ごめんね、僕を見たら怖がると思って今まで避けてたんだ。その・・・ホントにごめん〟

「ううん、全然大丈夫だから!その・・・もしかしたら嫌われてるのかと思ってたから・・・」

暁君はホッとしたのか、表情が明るくなった。

そして少し照れるように〝僕と友達になってくれない・・・かな・・・?〟と言ってきた。

私は嬉しくなった。病院ではあまり喋る人が居なかったし同い年なら気を使うこともなさそうだし。

「もちろんだよ!これからよろしくね!暁君!」

彼は〝白狼でいいよ〟と笑顔で言う。

「じゃあ・・・私も優美でいいよ?・・・白狼君」

彼は〝分かったよ、優美・・・呼び捨てでもいいかな?女の子を下の名前で呼ぶなんて初めてで・・・〟と顔を赤らめて呼び捨ての了承を待つ。

「うん!いいよ!私も男の子を下の名前で呼ぶなんて初めてだなぁ」多分私も顔が真っ赤だ。つまらないと思っていた病院生活も白狼君といれば楽しくなりそうだと心からそう思った。




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