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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

見捨てられなかった男

作者: セキュル

初めまして、初投稿ですので拙い文章ですが楽しんでもらえると嬉しいです。

「・・・」「・・・」


何かの「声」のようなものが聞こえた気がする。

通りがかった橋の下を覗いてみると、鎮座している段ボール・・・


(見るんじゃなかった)


「見なかった」「聞こえなかった」事にしよう思うが、時すでに遅く段ボールに手をかけてしまった。

幼いころからこの手の捨て犬、猫を何度も見てきてその度に俺は激しく後悔した。

結局救えなかったのである。

病気や飢え俺の知識不足で死なせたり、家庭の事情などで違う場所に再度捨てられたりしていた。


(また今度も)(今度こそは)気持ちは揺れ動き、段ボールを覗きこむ。


(ビニール袋が動いてる)中身を見た第一感想だった。


中に閉じ込められてるのかと思い手を伸ばす!その瞬間に感じたのは激痛であった。


「な!?」


碌に声も出せず狼狽した直後、そのビニール袋のようなものが飛びかかってきた。

腕に取りつかれたと思った瞬間、俺の腕が消えてしまう。


(持っていかれた?)


某金属の錬金術師のようなセリフが思い浮かんだが、すぐに激痛という名の現実が襲い掛かる。

痛みに悶える間もなく、その黒いビニール袋のようなものに包み込まれる。

そこで俺の視界がブラックアウトした・・・












け       てけり・・・り

                  てけり・り






(何か聞こえる・・・)


って意識はあるが体が動かない、って言うか聞こえるだけでほかの五感が機能していない。


正確ではないな・・・人間の五感が無いと言った方が良いだろうか?

考えるな!感じろ!ではないがなんとなくだが周りの様子が理解できる。

先ほど聞こえた声?は周りじゅう発信しているように感じる。


(もしかして巣に連れていかれた?)


餌にでもされるのかと思ったがブラックアウトする以前の痛みはない。

しかもすぐに食べられるわけでも無いようでまずは一安心だ。

(俺が正気だとすると・・・あの聞こえるようなものはク○ゥルフのスライム?の鳴き声だったっけかな・・・)


ラノベやアニメが好きで色々読んでいたが、まさかこんなことになるなんて夢にも思わなかったが・・・

(まぁ考察としては・・・

1:あの黒いのに取り込まれてる

2:あの黒いのを乗っ取った

3:あの黒いのに生まれ変わった

4:現実は非常である非常食として置いてある

(1と4はいやだなぁ)


五感が頼れない以上ここはお約束として一発!


(ステータスオープン!)



・・・ぉぉぅ・・・でたよ


__________________


名前:未設定


種族:?


年齢:0歳


ステータス

▽(施錠中)


スキル


ギフト?

神?からの哀れみ


__________________


・・・思わず閉口したが色々突っ込みたい!

何故に疑問形?それ以前にステータスの意味を成してねぇ・・・

それに加護とか祝福なら分かるが哀れみって何だ?


ステータスは・・・見れないな微妙に種族:生餌とか種族:保存食とか出てないだけでまだましかな


(まぁ1と4の線は消えたかな?、種族がはっきりするまで油断はできないが・・・)


スキルはどうだ?


スキル

 変形

 念話

 巨大化

 器官生成



(うんよくわからんが少なくとも今までの俺じゃない)


その時不意に周りの空気が変わった気がする。


「いや~、なかなか将来有望な感じ~?」


声のした方に意識を向けると姿は見えないが格というか次元が違うと感じる人?が居た。


「ごめんね~私が配達中のやつを箱ごとおとしてしまって~おなか空かせたやつに食べられたのよ~」


間延びした声の方は誤ってるのか言い訳してるのか分からないが・・・


「それでね~あなたの生命活動を第一にした結果ね~・・・やつに近い物になってしまったの~」


(うん原因はわかった。でもこのままでは色々と困るな)


「え~っとそれじゃ~あなたの持ってるスキルをえ~い!」


スキル

 変形(人化)

 念話(自動翻訳)

 巨大化(サイズ変更)

 器官生成

(亜空間収納庫)


「とりあえず~人と同じようになれるようにして~五感は器官生成で何とかしてね~」


(なれるようにってスキルの使い方すらわからん・・・)


「あ~スキルはね~ん~と念じて、や~ってやるのよ~」


(感覚派だなぁ・・・とりあえず試すか)


スキルを使おうと念じ、思い浮かぶのは在りし日の自分・・・自分の姿ってあんまり意識してみてないなネトゲのキャラならすぐに浮かぶのに・・・

何か変わった気がして目を開ける、開いた!見た!見てはいけない物を見てしまいそのまま意識は再度ブラックアウトした。





「あ~・・・忘れてた~ごめんね~」


間延びした声だけが残った・・・














「産地直送!」


「飛び起きた直後の一言目がそれ~?」


もうこりごりなので注意深く目を開けずにおく。


「もうだいじょうぶよ~姿は変えといたから~」


「人、またはそれに類する姿でしょうか?」


「疑り深いわね~だいじょうぶだってば~」


恐る恐る目を開けると女の子が立っていた。

髪の毛が白?銀?のようなそれ以外目立った所のない普通の感じだった。


「えっと、何してたんだっけかな?」


今更だが声が出ていることに驚き自分を見てみる。

手!有る。足!ある。体!おお!あんなに出っ張っていた腹がすっきりと・・・って俺の体じゃないな

手にあった古傷も見当たらないし、なんかマッチョになっている。


「あら~何かさらに別の物が混じってるわね~普通元の自分の姿を考えるものなのにね~」


混じる?自分以外が?思い浮かべたのはサービスが始まってウン十年経っている最古のMMORPGで使っているキャラ(のイメージ)だった。

もちろんかなり古い2Dのゲームだったのでグラフィックはしょぼかったが、ギルド内で絵が上手い人がイメージ図なんかをよく書いてくれていたので、そのイメージが強く出てしまったのだろうと思った。

イメージ通りだとすると頬に傷があるはず・・・あった。


(やばい!厨二全開で十字傷とかやばすぎる恥ずかしい!)


頬を思わず擦ってしまう、次の瞬間スキルを使った感じがした。

擦って消えるはずのない十字傷が消えていた。


「あら~スキルの使い方も分かってきたみたいね~」


なるほどこれが変形(人化)なのだなと理解した。あとからでも変更可能なんだな。

そうすると全体を確認したくなるが鏡などは見当たらずどうしようもなかった。


まあいろいろスキルを試してみよう。翻訳は別言語が無いと難しいだろうから巨大化と念じてみる。

次の瞬間周りが縮んでいく、いや自分がでかくなっているのか、元の大きさの10倍ほどになったところで巨大化が止まる。


「身長10倍って体積とかどうなっているんだ?」


「すっごくふしぎなぱわ~でいいのよ~」


「良いのか、とりあえず戻って他のものを見てみよう」


と思うとするすると元に戻る、不思議だ。


器官作成はおそらく目や耳などを作ったのだろうと勝手に想像し、次の亜空間収納庫を試す。


調子に乗って「四○元ポケット~」と言いながらポケットを探ってみるとマジ異次元なのかどこまでも入っていきそうだった。


「うんうんいい感じになってきたね~、生き物入れると死んじゃうから気を付けてね~」


「マジで?」


「マジで~、異次元ってね~とってもふしぎ空間だから~あなた以外は生きていけないんじゃないかな~?」


「俺は大丈夫なの?生き物はダメなんでしょ?」


「え~?」


「え?俺生き物じゃないの?」


「ふしきな存在だけど生き物かって言われると困るかな~?」


おおう・・・ってそれなら


「俺ってどうやったら死ぬの?」


「ん~・・・わかんな~い」


「じゃあ万が一亜空間に入っても俺出れるの?」


「中で~もう一回使ったら~出れると思うよ~出す場所もポケットじゃなきゃダメってわけじゃないし~」


そこでもう一度亜空間収納を試してみる。今度はポケットじゃなく目の前の空間に手を突っ込んでみると・・・入った。

シャツを一枚脱ぎ、亜空間に入れてみる。うん無くなった。もう一度手を突っ込み・・・どうやって出すんだろう?

シャツシャツと考えながら手を突っ込むとすぐに出てきた。


「離れたところにでも~あなたが出そうと思えば出せるよ~」


良いことを聞いた。シャツをもう一度入れて彼女の後ろに出そうとしてみると、出した感触はあるが手にシャツはなく彼女の後ろに落ちていた。

シャツを取り彼女に礼を言おうと見ると・・・再度意識を手放すことになった。背面は元のままだったのだ・・・手を抜くなよ!












「俺で遊んでないか?」


「てへ~」


意識を取り戻してこの会話である。

この体とスキルのことは大体わかった。少なくとも彼女は彼女(謎)であり、あまり長く付き合うべきでないと判断した。


「それで俺はここから元の世界に戻れるのか?」


「うん~無理~」


即答である。ぶん殴りたい!その笑顔!


「んじゃここでずっと過ごすのか?」


「え~とね~あなたの住んでる世界じゃない世界に連れてってあげることはできるよ~」


異世界か!うんうんよくあるラノベの設定な。しかし彼女(謎)達のいる世界に連れていかれたらそれこそお先真っ暗だ。


「どんな世界なんだ?」


「お話によくあるような~剣と魔法の世界だよ~」


「魔族が世界征服完了済みとか人類滅亡待った無しな世界じゃないだろうな?」


「あはは~そんな世界あったら遊びに行ってるよ~人もエルフもドワ~フもケモ耳?もいる世界だよ~」


「モンスターとか魔王とか居るのか?」


「魔王は居たけどちょっと前に倒されたけどモンスタ~?は居るよ~ゴブリンとかオークとかドラゴンとか~」


「ドラゴンとか居たら俺死んでしまわない?」


「どうやって~?」


「鋭い爪やら牙やらブレスとか吐くんだろ?」


「あはは~面白いこと言うね~」


そういうと彼女(謎)はどこからともなく剣を出し思いっきり切り付ける。

・・・

・・


痛くない。それどころか傷もない。


「ね~?大丈夫でしょ~?ついでにこれもあげるね~」


剣を受け取り亜空間にしまう。


「それじゃ~いくね~」


返事をするより早く風景が目まぐるしく変わっていく。


「それじゃね~」


そう言うと彼女(謎)は消えていった。









今いる場所は草原360度見渡してもあまり変化はない・・・


「さて、それじゃまず衣食住かな。」


そう一人ごちるとあてもなく歩いていく。



不滅の肉体とほんの少しの覚悟をもって・・・










最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


誤字脱字の指摘などしていただけるとありがたいです。

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