手術前
皆さん、明けましておめでとうございます。まだ書き始めたばかりの僕ですが、どうぞ今年もよろしくお願いします。
...そして4月10日、とうとう手術日がやって来てしまった。
車椅子に乗せられて手術室に向かっていた僕は呑気にも「車椅子なんて乗んなくても普通に歩けるのにな。まあ、楽だしいいか」などと考えていた。しかしそんな僕も流石に、手術室を前に固まってしまった。
母に励まされながら手術着に着替え、手術室内に入ると、そこには驚くほど真っ白な空間が広がっていた。
手術台に乗せられた僕は、周りに置かれている医療器具を見回した。
母がいれば何も怖くない...幼い僕は、そう自分に言い聞かせながら陽気なふりをしていた。
だが突然、眼前に白衣の手術医が現れた。その先生も、その時ばかりは悪魔のように、僕には見えた。
「それじゃあ始めるよ。」
そして緊張感の中、麻酔が用意され始めた。
全身麻酔を投与される時のことを、「すっと意識がなくなっていった」や「気づいたら寝ていた」などと表現する人が多いと思う。しかしこの時の麻酔は違っていた。患者の意識を十数時間もの間失わせる必要があるのだ。血管撮影検査の時に用いる麻酔とは強度が違う。
それを投与されるや否や、視界が回転し始めたのだ。大げさと思われるかもしれないが、本当に、意識を失うまで回転し続けたのだ。
「天井が回ってる...?」
それが意識を手放す前の、僕の最後の言葉だったそうだ。