初入院
MRI、CT、血液検査など様々な検査の末、僕の視力低下は脳腫瘍によるものだと診断された。そしてこの腫瘍を摘出する手術のため、3月30日にT大学病因に入院することとなった。言うまでもなく始めての経験である。
当時インターナショナルスクールというアメリカ式の学校に通っていたため、僕は既に小学5年生で、春休みも終わっていた。
脳腫瘍という難病を抱えながらも、その重要性を知らない僕は欠けらの緊張感も持たずに、人生初の入院を楽しみにしていた。
入院した日のことははっきりとは記憶していないが、ドキドキしながらこれから生活する病室の扉を開くなり、尿によると思われる異臭が漂ってきたことを覚えている。その時は匂に慣れず、顔をしかめながら入室した。
とはいえ、2、3日も経つとそれも気にならなくなり、僕は病室の雰囲気に順応していったのだった。
それから数日が経過し、血管撮影の日がやって来た。血管撮影検査では大腿の付け根から小さな撮影器具を通して血管内を観察する。。この検査では全身麻酔を使用するということで、僕は珍しく緊張を感じていた。
だがそんな様子の自分を見ていた担当医のA先生が面白いことを言い出したのだ。