幸せ/不幸せ
部屋の片隅で窓掛け越しの光に背を向けながら
一本一本膝の皺を数える
充電いっぱいにした携帯も
部屋を光らせることはない
ひとりでも生きていくことはできるから
そう言い聞かせて心を乾かしてきた
部屋の片隅で月明かりに照らされながら
一本一本腕の傷をなぞる
これで最後にしようと一人呟いて
いつもとは違う場所に刃を押しあてる
ひとりでも生きていくことはできるけど
それじゃ生きていくことしかできないから
これを最後の一回にしようと
優しく力を込めた ひさしぶりの涙だった
濡れる床に頬寄せながら 光る携帯を見た
ああ、一人でよかったと ゆっくりと目を閉じた