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001  作者: 真中ラン
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今日も授業は終わり、後は帰るだけになった。

秘密を知るといったって、まずその方法が分からないままではどうしょうもない。

多くの問題があるが、顔が広い訳でもない俺にとっては1番厄介な問題かもしれない。

もう今日は疲れた。

また明日にでも考えよう。

昇降口でため息をつきながら、下駄箱を開けた。

そこにはまた手紙があった。

ー 恥の多い生涯を送ってきました。屋上にいます。来てください。

名前が無いが何となく想像できる。

というか何故に人間失格の冒頭を使ったのだろう

か。

太宰治なんて走れメロスしか読んだ覚えがない。

充から話されたことを覚えてないと今回のも分かんなかっただろう。

充は、成績はそこそこだが知識量なら学年トップの会長にも匹敵する。

百科事典という渾名で呼ばれていたぐらいなのだ。

伊達じゃない。






今日の屋上は風が強く、体に当たって肌寒く感じる。

松本小鳥はというと全力で震えるのを我慢しているようだが小刻みに震えているのが見えてしまっている。

小動物。お似合いだ。

「何ネズミを見たかのような目で見てるのよ。」

「いや、どちからというとハムスターに見えるが。」

「結局、人とは見られてないのね。残念だわ。」

「自分から言ってただろ。俺が悪いみたいに言うな。」

「私は貴方が小動物でも見てるかのような目で見てるから言ったのよ。」

そんなピンポイントで分かるのか。

言われた時は、ドキリとして息苦しい思いをした。

「って言えば大体当たると充くんに教わったのよ。」

充には後でボロ雑巾のように扱わないといけないらしい。

「で、本題に移ろうか。」

「そうそう、忘れてたわ。貴方を助けようと思って。一応聞いとくけど、必要かしら?」

「あぁ、丁度欲しかった。教えてくれ。」

「女子に助けを求めるなんて、恥でしょう?もしかしたら、ほんとに恥の多い生涯を送って入水自殺してしまうんじゃないかしら。」

あの手紙の一文は俺に対してだったらしい。

「随分手の込んだ伏線作りだな。あと、俺は太宰治じゃない。自殺なんてしない。」

「あらそう、なら生き恥を晒しながら聞いて頂戴。」

再開した時の印象とは全く違うのだが、こんなこと言う奴になってしまったのか。

「私の知り合いを教えるわ。その人は秘密を知っている。後は自分で何とかしなさい。」

「わかった。で誰なんだその人は?」

「今週の土曜日に前に行ったカフェに来るよう伝えたから。あっちは貴方のことを知っているわ。」

「ありがとう。」

その言葉に小鳥は反応しない。

これでまた1つ近づいた。

もう太陽も山の裏へと隠れ、綺麗な星空が見え始めた。

投稿するのが遅れました。これからは1週間に一度になるかも知れません。ご了承ください。

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