その4
「いて」
つるちゃんに殴られた俺に同情したのか俊介が弾いていたベースの手を止めて話しかけてきた。
「こいつは、結構口ではいい加減な事言うけど、無断で休むやつじゃない、何かよっぽどの理由があったんじゃないかな?」
と、こちらを向きながら言った。その不敵な笑みは何ですか? 俊介……。
「ほ〜よっぽど理由か、で何があったんだ?」
つるちゃんまで何それ、二人揃って俺をいじめて楽しいですか。
「べ、別に無いよ。サボりたかったから、休んだだけだ」
「「へ〜」」
「ハモルなそこの二人」
やれやれという、雰囲気をだしながら俊介が言った。
「まあ、どこかの副委員長の事は言いたくなければそれで良いよ」
「……」
何で知ってるんだこいつ? さ、さすがリーダー?
「ん? なんだその副委員長というのは?」
つるちゃん興味津々だし。
「あ〜それは「練習しよう」」
俊介の言葉を遮って(ナイス)いつの間にか起きた、久志が言った。
その声を切っ掛けに、俺たちは練習を始めることにした。俺のサボりの理由は結局どうでも良いらしい。
部活が終わるまで、つるちゃんだけが、副委員長ってだれ? とぶつぶつ言っていた。
そして、練習を終わり俺たちは学校を帰る事にした。俺たちは帰るときはいつもバラバラだ。
俺はどこに寄り道もせずに帰るのだが、二人はバイトやら遊ぶのに忙しいらしい。
どっちが、バイトで忙しいのか、遊ぶのに忙しいのかは、想像にお任せする。
一人で校門を出ようとする俺の横から声をかけてくるやつがいた。
「おい!」
見ると黒川だった。