その14
俺は、色々あって自転車の後ろに乗る事になった……。
き、気を取り直して、二人で一緒に帰るのは久しぶりだ。やっぱり嬉しい。
自転車を漕ぎだそうとした彼女が言った。
「ちゃんと掴まっててね」
「おう」
俺はおそるおそる抱きつく。ん〜彼女の中で何かが変わったらしい?
それとも俺だけなのかな?
一度失っただけに、この彼女との時間が、より大切に感じた。
何となく彼女に聴いてみる。
「何でチャリ通にしたの?」
「できるだけあんたと顔会わせたくなかったから」
「な、なるほど」
凄い返答が帰ってきた。今の状況でなければ笑えないよそれ。でも嬉しいな。
もう少しで彼女の家だ。
「やっぱりチャリだと早いな〜これから俺も晴れの日はチャリ通にするかな」
「じゃあ私の家寄ってよ。通り道だしいいでしょ?」
「いいけど、一緒に学校行くってこと?」
「今度は、後ろに乗りたい」
「なるほど、りょうかい」
彼女の家に着いた。俺は自転車から降りる。
「サンキュー重くなかった?」
「軽い荷物だったよ」
「に、荷物ね」
彼女は、笑いながら軽く否定する。
「嘘だって」
「じゃあまた明日、え〜と明日は二人で学校行こうな」
「そうだね。入りずらいよね」
「二人で行けば大丈夫」
「うん」
離れがたい気持ちを振り切って、彼女に手を振ってから自分の家に向かう。
そして、俺が家に向かって歩いてすぐに、後ろから俺を呼ぶ声がした。
「けいご〜」
「やっと呼んでくれたな」
彼女は微笑みながら言う。
「そうだっけ?」
「んじゃまた」
「うん。またね」
<完>
おまけ。次の日の朝?
「けいご、おはよ〜」
「おう」
「黒川、俺も下の名前て呼んだ方が良いの?」
「別にどっちでも良いけど?」
何か不満そうだ。けど可愛い。
「もうちょい待って。心の準備がない」
「しょうがないな。楽しみにしてる」
そして、俺たちは自転車の2人乗りで学校へ行く。