その13
静かな廊下を二人並んで手を繋ぎながら歩く。
誰かに見つからないかドキドキする。
無事に誰にも会わずに学校の下駄箱についた。
「あ〜私チャリ通になったんだよね。知ってた?」
「知ってたよ。黒川の情報は男たちの間で凄いスピードで伝わるのです」
「なにそれ?」
「まあいいから、二人乗りで帰ろ〜」
俺たちは駐輪場へ向かって歩き出した。
歩いていると、彼女が楽しそうに言う。
「何にかサボってる感じがする」
彼女にとってサボる事はイベントのようだ。
俺にとっては日常……駄目だろそれ。
二人で話しているとすぐに駐輪場に着いた。ついに着いてしまった。
チャリに乗るには、ず〜と繋いでいた手を離すしかない(実は彼女を連れ出してから繋いだままだった)。
俺は、一生の不覚だと思いつつ離し、彼女の自転車にまたがり言う。
「んじゃ行こう」
「は?」
「え?」
「私の自転車なんだから私が漕ぐから、あんたが後ろに乗れ!」
「命令かよ! ん〜なんか男が後ろって格好悪くない? だから俺が漕ぐ」
え〜ここで、どっちが漕ぐかどっちが後ろに乗るかで五分ほど揉めた。
このまま一生揉めるのかと思ったその時!
彼女の一言で、この時間に終止符をうった。
「後ろなら私に公然と抱きつけるよ」
にやりという言い方がぴったりな笑顔で彼女が言った。
俺は黙って後ろに乗る事にした。
ん〜男ってバカだね。ほんとどうしょうもない。しみじみ。