その12
彼女が寝てからだいぶ時間が経った。
今日の午後からの授業とかいったいどうなったんだろ。見事にサボったな〜。
あいている方の手で、彼女の髪の毛をくるくるしながら遊びつつ、ぐだぐだ俺が考えていると。
「ん〜」
彼女がもぞもぞと動き出した。あ〜やっと起きたよ。
俺は起こさないようにしていたので、身動きが取れずに体がカチカチになっていた。
まあとくに飽きなかったけどね。
彼女は目を開けると、キョロキョロと周りを見渡す。状況を思い出したらしい。
彼女の頭は起きて数秒で正常に動きだした。
寝惚けたりしたら、もっと可愛いのにと少し思った。
「ん〜よく寝たかも。最近ず〜と寝不足だったんだよね」
「そうだったんだ」
彼女が可笑しそうに言った。
「誰かさんが、無視するし目も合わせないし」
「お互い様だろ」
「まあね」
「ん〜じゃあ帰ろうか」
「いいの?」
「だって俺今日はクラスに入るのやだよ」
「あ〜」
何か色々思い出しているようだ。
「すまんね〜優等生をサボらせて」
「そう言えば私学校とかサボった事無い」
「じゃあなおさら帰ろ」
「私の無遅刻無欠席が〜」
「俺が連れ出した時点でアウトだろそれ。諦めが肝心だ俺のように」
「あんたのは、諦め過ぎでしょ」
いつの間にか、へんなツボに入ってしまって二人で爆笑していた。
一頻り笑い終わった後、彼女の手を引いて俺が言った。
「行こう」
「うん」