道中、失礼します
「・・・・・・それにしても、本ッ当に弱いなぁ」
自分のステータスウィンドウを眺めながら、そうつぶやく。
【チュートリアルブック】を読んだおかげでステータスウィンドウの開き方や、技や魔法の使い方などの基本操作。じぶんの身体能力について知ることができた。
実際に自分のステータスを開いてみて出てきた数値が、
『HP:50 MP:20』
これが無くなるということイコール『死』だそうだ。
根性などではどうにもできない、この世界での常識。
「でも、どうしようもないしな・・・・・・」
その言葉と一緒に、一瞬感じた怖気もハァと外に吐き出した。
「・・・・・・さてっと、とりあえずは街にでも行きますか」
小屋にある道具をリュックに詰め込み、木剣を装備してこの森を後にした・・・・・・。
* * * *
あの小屋には、ポーションのほかにもこの地域の地図や方位磁針などもあり、防具の類は見当たらなかったが靴だけはなぜかあった。
ここにつれてきた人物は一応媒体をゲームにしていたことから靴だけはと思ったのだろう。
いまは、地図に載っている一番近い街『プルミエ』へと向かっている。
遮蔽物の何も無い広い草原を歩いているので、すでに町は見えているがおよそ小1時間はかかる距離だ。
「日も傾いてきたし、すこし急ごうか・・・・・・ん?」
ギイィィィィィ、ギイィィィィィ
突然獣の鳴き声らしきものが。
声のするほうを向くと、そこにいたのは猪。
正確な名前は【ワイルドボア:lv1】
やはり頭の上にHPバーと名前が浮いていた
大きさは腰くらい、それがこちらに向かって突進してきた。
(いきなり!? でも、猪といえば直線。うまくかわせばなんとかなる!)
そう考え、木剣を持ち直し右へとステップ。
緊張でぎこちなくなっていたが、何とか回避成功。
自分の脇を通り抜けたところを追いかけ、ケツに思いっきり剣を叩き付けた。
さすがに木剣ではわかりやすい傷はついていないが、それでもHPが4分の1減った。
そのまま、顔をこちらに向けたときに横から一撃。
顔に当てたときのほうが威力が大きい。
残りは半分を切っている。
今のでよろけているうちに後方へステップ。
とどめはスキルを使ってみることにした。
心の中で、唯一覚えていたスラッシュを念じ、剣を担ぐように振り上げる。
すると、驚いたことに体が自然と相手に向かって駆け出した。
自分ではほとんど力を入れているつもりは無いのだが、先ほど自分で剣を振ったときより明らかに早くボアの脳天を捉えた。
「・・・・・・はぁぁぁ」
この世界手の初戦闘は何とか勝利。戦闘のコツもすこし身につけることができた。
初勝利の余韻を感じていると、
『ピンピロピロリローン♪』
とどこからか音が鳴った。
もしやと思い、ステータスウィンドウを開いてみると、レベルが2に変わっていた。
ステータスもわずかながら全体的に底上げされていた。
(・・・・・・・・・・・・ッ!)
初勝利の後に、初のレベルアップ。
戦利品として、フィニッシュ時にでも取れた大きめの牙を貰っていくことにした。
もう片方の牙も何とかしてへし折り、手に取ったそれらを見つめながら
言い知れない喜びを疲労した身体全体で感じ、気分が高揚したまま街へと足を向けた。
戦闘なんてはじめて書いたなw
ひねりがあんまり無くてすみません。
2012/10/09
ほんとに微調整