置き手紙:『やぁ』
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「……キャラクタネームは、クロノ……いや、リュートっと」
この男の名前は黒野龍斗、高校2年、特徴はメガネだ。というより他に目立った特徴がない。
そんな彼がプレイしようとしているのが『アナザーワールド』というRPGだ。
「種族は人間で――」
このゲームを注文をしていたわけでもないのにポストの中に入れておいた。
怪しいと思ったとしても起動させるためにケースの裏に次のうたい文句をつけた。
「性別は男」
このゲームの売りは、
『ファイターやアーチャーなどメジャーな職業からサムライやニンジャなどマイナーな物まで多種多様な職業』
『スキルと材料しだいで自作の武器から城まで作れる自由度の高いクラフト機能』
『いつまでも遊べるクエストの自動生成』の三つ。
世界観は中世での剣と魔法の王道もので、他の箱庭ゲームとは比べものにならないくらいに広い。
こいつの好みはよく知っているからな、これで十分だ。
「外見は……まぁ適当でいいか」
他にも、ステータスの成長はランダム、蘇生魔法やアイテムは無しなど説明書に書いてあることを読みながら自分の分身を作り上げていく。
「……よしっ、完成。それじゃゲームスタート!!」
ゲームスタートと表示されたボタンを押した。
さて、こいつにはせいぜい楽しんでもらうとしよう。
* * * *
まさに一瞬。目を閉じ、目を開ける。この作業を行った先にあったのは先ほどとはかけ離れた光景だった。
「…………はぁ?」
彼が最初に目にしたのは小さな小屋だ。
森の中にたたずむ木造の小さな小屋。
ぽかーんと口をあけ、微動だにせずじっくりとその小屋見つめる。
――いやいや、おかしいだろ? さっきまで自分の部屋でゲームしてただろ? 何でこんな所にいるんだよ。
そんなことを考えながら現状確認。
ジャージよし。メガネよし。靴はなく、なぜか裸足。
部屋に居たときとまったく同じ服装だ。
ふと視線をそらすとそこには立て看板。近づいて読んでみると内容はいたってシンプル。
『小屋に入れ』
――なんで命令口調なんだよ……。
他にアテもないので仕方なくその命令に従う。一応ノックはしてみたが返事はない。
「とりあえず、お邪魔しま~す」
中に入るとそこには剣や弓などの武器が数種が壁にかけてありと部屋の中央の机にはリュックや地図といった道具類が有った。
――まるで此処はゲームの中のようだな。
それぞれの武器や道具の上に【木剣】や【木の弓】など名前が浮いており、他にも【HPポーション】や【MPポーション】など、見た感じがゲームっぽかった。まず間違いはないだろう。
机の上に置き手紙らしき物を発見。次の命令かなと思いつつ広げてみた。
『やぁ』
――今度はずいぶんとフランクだ。
『いきなりこんな所につれてこられて驚いただろう? ここは君がさっきプレイしようとしていたゲームの中だと思ってもらってかまわない。正確にはすこし違うけれど、それはそこの机にある【チュートリアルブック】に詳しく書いてあるからそっちを読むといい』
――おk、把握。
『元の世界に帰る方法はないよ、だから残りの人生をここで過ごすといい』
――まさか、いきなり帰る方法がないと言われるとは。別の世界に連れてこられてからの最初の目標テンプレの【元の世界に帰る方法を見つける】ができないとは……。
『他にもできることならいくらでもあるだろう。例えば冒険者として生涯を過ごすなり、商人として世界をめぐるなり、どこかで国をのっとって王になったりとにかく君の自由だ。』
――自由……ねぇ
『あと注意してほしいことが二つ。一つはここでの死は本当の死だ。どこかで復活できるとか、蘇生アイテムなんてものは無い。君はこの世界で生きているんだということをしっかり理解しておいてくれたまえ』
――――――――。
『もう一つはレベルが“1”からのスタートだということだ。よくある小説などでは俺TUEEEや俺SUGEEEの状態から始まることがあるらしいが、君はそうでない。油断して森から出た瞬間に雑魚モンスターに殺されるなんてことの無いように。それじゃあ、よい人生を……』
手紙はどうやらこれで終わりのようだ。
まるで夢見たいな話だ。
というより、まだこれを現実として見きれていない感じはあるが。
そんなことよりも、俺はこの状況をものすごく楽しんでいる。
「おっと、そういえば、チュートリアルがどうとか言ってたな」
この世界で生きていくための知識を得るため、また本格的に活動していくために、そのそばにあった本に手を伸ばした。
2012/10/09
雰囲気と流れを変えるため、一部修正