9/12
~悪友~
急に立ち上がり俺の胸倉を掴んだかと思うと、
「お母さんに誤って来い!お母さんは大切にしろ!!」
と怒鳴り声を上げた。
冷静に考えてみれば同世代のしかも思春期の男子が堂々と言える内容ではない。
鼻で笑ってもいいようなものだが、
その時は予期していなかった小池の行動に驚き、
言われた通りに帰宅して母に誤ってしまった。
その晩、冷静になって考えたら恐ろしくなった。
小池にではなく、周りで聞いていたクラスメイト達の明日からの反応だ。
それでなくても特に喧嘩が強いわけでも無く、後ろ盾があるわけでも無い。
ただただパンピーの男子がお母さんに誤りに帰宅したとあっては
周りのクラスメイトだけに留まらず、学年全体・・・いや
学校中のいい笑いものだ。
俺は最悪の事態を想像し、深いため息をついた。
入学して間もない高校だが、早くも退学したい気持ちになった。
翌日、恐る恐る登校すると
いつもと変わらないクラスの風景がそこにはあった。
特に冷やかしに来る連中もおらず、静かなものだった。
当の小池はというと昨日あった事が無かった様に
相変わらず机に突っ伏してうんうん唸っているだけだった。