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〜u b u t a〜
店を出た時には既に陽が暮れかけていた。
来た時とは逆に冷房で冷えきった体をほぐす
生暖かい外気にあたりながら
つい先程までの事を一から回想していた。
いそいそと換金所に向かう男の顔は
明らかに興奮を抑えきれなかった。
換金所から離れる冴えない中年男は
久々にみる札束を実感が沸くまで
何度も何度も数えていた。
男がもう随分昔にフられたと思っていた
勝利の女神様がもう一度振り向いたのか
憐れみをかけられたのかなどと考えていると
不意に後ろから肩を叩かれた。