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産唄  作者: panipany
2/12

~u b u t a~

昨日もだいぶ陽が昇ってから目を覚まし

いつもの様に怠惰な自分に嫌悪感を抱きながら


のろりと体を起こし身支度を整えた。



今日一日の予定も無く、愛車に跨り何処へとも無く走る




明日こそは、



明日こそは、、と



毎日昼前に起床し、愛車に跨り当てもなく町をぶらつく。






暫く走り適当に自販機の前で停車する。




こんな怠惰な自分でも腹は減るし喉も乾く




若作りともみられる皮と金属を編み込んだチェーン付きのごつい財布から

120円を取り出し自販機に押し込む。


ブラックコーヒーを啜りながら辺りを見渡す




≪新装開店 地域№1宣言≫なるノボリがはためいている。



普段なら無視する所だろう。



何故ならもう随分昔に勝利の女神とサヨナラしたと思っていたし

定職に就いてる様で就いていない35歳独身男には

ギャンブルで捨てられる程の余裕は無いからだ。




だがこの日はなんだか違った。




おもむろにチェーンのついた財布を取り出し札入れを開けてみる。





1万1千円


 




これが自分の全財産かと思うと

何だか悲しみよりも憐みを覚える。




少しの間考えたフリをしてバイクを

パチンコ屋の駐車場に停めた。




もう何年振りだろう。




パチンコ屋の自動ドアが開いた瞬間。


外との温度差を肌で感じる。





此処には色々な念が渦巻いている。



そんな妄想さえ抱かせる程の騒音だ。




慣れない騒音に肩を竦めながら、店内に吸い込まれていった。

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