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産唄  作者: panipany
12/12

~悪友~

3ヶ月くらい前から卒業後の進路を見越して、自動車免許があった方が

有利だし、就職後は取得が難しくなるとの事で教習所に通い出したらしい。


この時期の教習所は同じ目的の高校生で溢れかえる。

教習生募集の案内には「自分のスケジュールに合わせて教習が組めます」と

記載されているが、なかなか都合通り行かないものだ。


そこで、時間が空いている時には大抵「キャンセル待ち」を狙う。

要は他の教習生が突発的にキャンセルした教習枠を順番待ちするもので

1日中待ってもキャンセルが出ない時は教習にはありつけない。


俺みたいな気が短い人間には向いてないシステム。


だが、小池の様な奴なら1日中とは言わず、呼ばれるまで待ち続ける事が

出来るだろう。



話を聞けば呆れるが、殆ど毎日キャンセル待ちをしていたらしい。


その日も小池は規定の2時間教習を終え、キャンセル待ちの為

待機所の長椅子に腰掛け、教本を見たり、イメージトレーニングをしたり

過去問に目を通したりしていた。



すると不意に隣の人物から声を掛けられた。


「毎日熱心に来てますね?」


見れば20台後半から30台前半の綺麗な女性がそこに居た。


名前は恵子さん。


恵子さんも小池と同じく自動車免許取得の為この教習所に通っていて

学科の時間で何度か小池と一緒になった様で、更に毎日キャンセル待ちを

している小池を見掛けて一方的に親近感を抱いていたという事だった。






ものは言い様だなと心の中で吹いてしまった。

顔はまあまあだが、特に目立つ格好をしている訳でも無く、

他人にフレンドリーに接する様な男でも無い小池に興味を持つ理由。






その人も多分俺と同じ理由だろう。


コイツ待機所の長椅子に腰掛けてきっとうんうん唸って居たに違いない。





俺は確信にも似た想像を頭の中で駆け巡らせほくそ笑んでいた。




その恵子さんはキャンセル待ちはしなかったが小池を見つける度に

声を掛けてくれて、段々と会話を交わす内に小池の方からも声を掛けるくらい

親しくなって行ったそうだ。













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