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身内ネタ小説

リコ王 〜ゆるキャラ好きJK、ノリで異世界を平和にする〜

作者: 黒瀬雷牙
掲載日:2026/05/24

 その日、王都は揺れていた。


「陛下ァ!! 起きてください陛下ァ!!」


 ドンドンドン!!


 扉を叩く音で、少女は目を覚ました。


「んぇ……あと五分……」


 ベッドに埋もれていた女子高生・リコは、布団を頭まで被った。


 しかし次の瞬間、巨大なラッパの音が鳴り響く。


 パオォォォーーーン!!


「うるっっっっさ!!?」


 飛び起きたリコは、そこでようやく気づいた。


 知らない天井。

 知らない部屋。

 知らないシャンデリア。


 そして、自分がとんでもなく豪華なパジャマを着ていることに。


「……え、ここどこ?」


 扉が開く。入ってきたのは、銀鎧を着た男だった。


 しかしその顔には、完全に徹夜明けの死相が浮かんでいる。

 彼は朝まで仕事をしていたのでは無く、麻雀をしていたことは誰も知らない。


「おはようございます……リコ王陛下……」


「誰?」


「騎士団長のあてつんです……」


「あ、どうも……」


 あてつんはそこで限界を迎え、立ったまま寝た。


「寝るな!!」


 リコのツッコミが玉座の間まで響いた。


 一時間後。


「つまり私は異世界に召喚されて、なんか王様になってた、と」


「はい……」


 あてつんは半分寝ながら説明した。


「そしてこの国は今、魔王ネルの脅威に晒されています……」


「へー」


「へー!?」


「いやだって急に言われても……」


 リコは玉座に座りながら、テーブルの上のゆるキャラ人形を眺めていた。


 丸い。

 かわいい。

 最高。


「この子なに?」


「初代国王マスコットのモチャアドラゴンです」


「えっ可愛い!!」


「国の危機なんですが」


「LINEスタンプ化しようよ」


「国の危機なんですが!?」


 あてつんが泣きそうになった。


 その時だった。


 バァン!!


 謁見の間の扉が開く。


「失礼するッッ!!」


 現れたのは、筋肉隆々の大男だった。


 しかし服装は、なぜか大学生みたいに若い。


 しかも無理がある。


「私はMs.タカヤマ!!二十一歳の女子大生だ!!」


「絶対嘘だろ」


 リコは即答した。

 あてつんが耳打ちする。


「陛下……この方は危険です……」


「え?」


「単独で竜王を殴り飛ばした厄災級戦力です……」


「女子大生ってなんだよ」


 Ms.タカヤマは腕を組んだ。


「フッ……年齢など飾りにすぎん」


「いや飾れてない」


「それよりリコ王。魔王ネルが西の砦に現れた」


「え、もう?」


「数は無限。斬っても増える」


「最悪じゃん」


「だから私は提案する」


 Ms.タカヤマは真顔で言った。


「燃やそう」


「雑!!!!」


 西の砦。そこは地獄だった。ぷるぷるした黒いゲルが、地平線まで埋め尽くしている。


「なにこれキモッ」


「魔王ネルです」


「全部!?」


「全部です」


「本体どこ!?」


「誰も知りません」


 ネルたちは一斉に叫んだ。


『ネルネルネルネル!!』


「語彙終わってる!!」


 リコは頭を抱えた。

 するとMs.タカヤマが前へ出る。


「任せろ」


「え?」


「私には策がある」


 ズシン。


 ズシン。


 Ms.タカヤマはゲルの大群へ歩いていく。


 そして。


「お前たちィィィィ!!」


 腹の底から叫んだ。


「徹夜テンションの相手をしたことはあるかァァァ!!」


 あてつんが目を見開く。


「ま、まさか……!」


 Ms.タカヤマはあてつんの肩を掴んだ。


「起きろ」


「え?」


「真の夜更かしを見せろ」


「……ッ!!」


 次の瞬間、あてつんの目がカッと開いた。


 ド ン !!


 謎のオーラが噴き出す。


「うおおおおお!!三日寝てねぇぇぇぇ!!」


「なんでそんな起きてられるの!?」


「役満チャンス中に寝れるかァァ!!


 あてつんは超高速で動き始めた。


 ネルを斬る。

 斬る。

 斬る。


 しかし増える。


「無理ゲーじゃん!!」


 リコが叫ぶ。

 その時だった。


 ぷる、と。


 一匹のネルが、リコの足元に近づいた。


『ネル……』


 よく見ると、ちょっと可愛い。

 丸い。もちもちしている。


「……あれ?」


 リコはしゃがみ込んだ。


「お前、ゆるキャラ向いてない?」


『ネル?』


「絶対グッズ化できるじゃん」


 周囲が静まる。ネルたちが、一斉にリコを見た。


「……ねえ」


 リコは立ち上がる。


「戦争やめて、もちもちフェスティバルやらない?」


 沈黙、そして。


『ネルーーーーー!!』


 大歓声。


「通じたァ!?」


 三ヶ月後。


 王国は平和になっていた。

 魔王ネルは観光マスコットとなり、

 モチャアドラゴンとのコラボ商品は爆売れ。


 国の財政は過去最高。


 リコは玉座でポテチを食べながら言った。


「政治わかんないけど、可愛いは世界を救うね」


「救いましたねぇ……」


 あてつんは立ったまま寝ていた。

 Ms.タカヤマは腕を組む。


「フッ……これが女子大生の知略だ」


「いや脳筋だったろ」


 すると窓の外から声が響く。


『ネルネルーー!!』


 巨大な着ぐるみパレードだった。

 民衆は熱狂している。


「陛下ーー!!」

「リコ王ばんざーい!!」


 リコは少し照れながら手を振った。


「なんか……異世界も悪くないかも」


『ネル』


玉座の後ろから、新たなゲルが現れた。


『次回作モ、ヨロシクネル』


「メタ発言するな!!」

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