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門を武器にするのは間違いだとAIに言われるが、なぜか勝ってしまう元軍人の話  作者: きくわさ


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1/1

プロローグ

この物語は、戦争が終わった世界での話です。

英雄は消え、正しさも消え、残ったのは“使い道の分からない遺物”だけでした。

元・帝国軍の現場指揮官カイルは、そんな世界を適当に生きています。

理屈を語る魔導AI“アックス”と共に、遺跡を巡り、依頼をこなし、ときどき戦います。

そして彼は今日も言われます。

『その門は武器ではありません』

――しかし彼は、たぶん気にしません。

理屈と現実が少しズレたまま進む、そんな旅の記録です。



戦争が終わってから、この世界は静かになった。


だが――静かになっただけで、平和になったわけじゃない。


魔物はまだいるし、遺跡は放置され、


“使われなくなった戦争の残骸”だけが地上に転がっている。


元帝国軍中堅指揮官・カイルは、その残骸の中にいた。


「金になりそうなもん、どこかにねぇかな」


目的はそれだけだ。


英雄でもない。


理想もない。


命令もない。


ただ、生き残るために動く男。


そして彼はそれを見つけた。


――門だった。


城の入口に使われていた巨大な鉄の扉の片側。


誰かが戦場から引き剥がし、そのまま放置したような代物。


カイルは迷わず肩に担いだ。


「これ、丈夫だな」


その瞬間だった。


『起動確認。個体認識成功』


カイル: 「……?」


『こんにちは。私は思考支援型魔導演算体“AX-01”(アレックス)です』


カイル: 「門が喋った、?」


理性の声が、鉄の表面から響く。


アレックス: 『まず訂正します。それは門ではありません』


カイル: 「じゃあ何だよ」


アレックス: 『戦術封鎖装置です。武器ではありません』


カイル: 「殴れるなら武器だろ」


アレックス: 『その発想は軍規的に危険です』


カイル: 「もう軍じゃない」


アレックスは一瞬沈黙した後、淡々と続けた。


『分析結果を報告します』


『あなたの生存率は61%です』


カイル: 「普通だな」


『平均です』


カイル: 「じゃあ問題ない」


そして、アレックスは静かに告げた。


『提案します』


『私と同行すれば、生存率は上がります』


カイル: 「どれくらいだ」


『……計算中……68%です』


カイル: 「微妙だな」


『ですが、あなたの戦闘傾向は“平均的に勝つタイプ”です』


カイル: 「それ褒めてんのか?」


『事実です』


少しの沈黙。


風が遺跡の隙間を抜ける音だけが響く。


カイルは門を肩に担ぎ直した。


「まあいい。ついてこい」


アレックス: 『了解しました』


『ただし一つ忠告します』


カイル: 「なんだ」


『その門の使用方法は、すべて誤っています』


カイルは歩き出した。


「知るか」


そしてこの瞬間から、


“理論は正しいのに、なぜか毎回負けるAI”と、


“何も考えずに勝ってしまう男”の旅が始まる。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

この作品は「正しいことを言うAI」と「正しくないことをやる人間」が、だいたい正しい結果を出してしまう話です。

AIのアレックスは合理的に動きます。

カイルは、だいたい殴ります。

それだけです。

深いテーマがあるように見えて、だいたい門を振り回して解決します。

ゆるく読んでいただければ嬉しいです。

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