未来の話
初夏の風が心地よく吹くある日、陽太と美月はリビングの大きな窓から外を眺めていた。
庭のタマが花壇の周りをくるくると回り、鳥の鳴き声が遠くから聞こえてくる。
「……なあ、陽太」美月が少し照れた声で話しかける。
「ん?なんや?」陽太はソファで新聞を広げながら、ふと顔を上げる。
「私たち、この先どうなるんやろな……」
美月の言葉は軽いものの、どこか真剣さを含んでいた。
陽太は新聞を折りたたみ、隣に座る。
「未来か……そやな、考えたことはあるで」
二人の会話は、昔の荒くれ気質とはまるで別の落ち着きがあった。
「例えば、家族とか……子どもとか、どう思う?」美月が少し笑いながら聞くと、陽太は考え込む。
「俺は……正直、昔の俺らやったら想像もできんかったけど、今は……タマを見てると、守るって気持ちが自然に出るやろ?子どもでも同じやと思う」
美月は頷き、タマを抱き上げる。
「ふふ、なるほどな。タマで予行演習ってことね」
陽太は笑いながら、肩をぽんと叩く。
「そうやな。まあ、焦る必要はない。今の生活を大事にしつつ、少しずつ考えたらええやろ」
二人はその後、将来の家の話になった。
「もっと広い家もいいな……庭も広くて、タマと走り回れるような」陽太が言えば、
「そしたら、子どもも遊べるしね」と美月も自然に想像を膨らませる。
会話の中で、二人は少しずつ夢を描く。
小さな家庭菜園を作ったり、DIYで家具を作ったり、休日は街のイベントに出かけたり。
昔なら考えられなかった“平和でチルな日常”の細かい積み重ねが、二人の未来像として鮮やかに思い浮かぶ。
午後には近所のカフェに出かけることにした。
歩きながら、陽太はふと昔の話を口にする。
「そういえば、俺ら昔は……」
美月がにやりと笑い、手をつなぐ。
「そうね、昔の私たちなら、ここで喧嘩になってたかもね」
カフェでは、二人でアイスコーヒーを飲みながら、街の人や子どもたちを観察する。
「見て、あの子、自転車上手やな」美月が言えば、陽太も「将来、ああいう子どもを育てたいな」とつぶやく。
夕方、家に帰ると、二人は庭でタマと遊ぶ。
日が沈むと空が赤く染まり、風が少し涼しくなる。
「……未来はどうなるか分からんけど、こうやって一緒に笑って過ごせたら、それだけで幸せやな」陽太がつぶやく。
美月は肩を寄せ、うなずいた。
「うん。昔の私たちは荒くれやったけど、今はこうやって未来を描ける。それが一番嬉しいわ」
元ヤン夫婦のチルな日常は、未来への想像と希望に包まれ、さらに温かく穏やかに輝きを増していく。
荒くれた過去を持ちながらも、二人は互いに支え合い、笑い合いながら、今日も少しずつ未来を紡いでいくのだった。




