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序章

空想科学学園都市「井川」


序章 幼き日の記憶


 東京での夜は、他の地方とは違い明るい。

 ネオンやライトアップの影響で、星たちが薄明るい夜空の中に沈んでいるからだ。

 見上げてもそこにある物は、疎らな一等星や月ぐらいなものだ。

 でもその空を、毎日のように彼女は見上げていた。

 僕はその彼女の姿をみると、家から飛び出し足にまとわりついたものだった。

 彼女はそんな僕を見てにっこり微笑むのだが、僕が彼女の事を呼ぶと少しむっとする。


 「ばーちゃ!」


 風になびく黒髪がたおやかであっても、その素顔がどう見ても30代といって疑いない顔であっても、彼女は僕の祖母であった。ゆえに拙い言葉で彼女を呼ぶ時は「バーちゃん」と呼ぶことにしていた。


 「リョーコさんとお呼び。」


 感情の入る隙間すらないかのように間髪入れず彼女は、仕返しに僕の頬を左右にひっぱる。

 ゴムのように柔軟な僕の頬は、まるで玩具のように広がる。

 が、まったく痛くない。

 彼女もそれを知ってか、容赦なく伸ばして遊ぶ。

 いつも通りのコミニュケーション。

 そんなやり取りがいつまでも続くものではないが、それを見計らうかのようにお手伝いさんの皇さんが中に入ってくれていた。


「りょうこさま、りょうくんは喜んでいらっしゃりますわよ。」

「面白味の無い子供だねぇ。」


 そっけなく手を離す祖母は、だからといって嫌気の為に手を離したのではない事を感じさせる笑顔で僕を見る。

 いま、そんな笑顔を思うと、辛く、胸が痛い。

 二度と見れない風景なだけに。



神代ふみあきと申します。


追い詰められるとテキスト打ちに逃げる性質なもので、色々と書いています。


気に入っていただければ嬉しいです。

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