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同棲

ボクが彼女と添い遂げたかった…

でも、もう手遅れですか?


こちらの作品は、カクヨム様にも掲載中です。

 現在ボクは二十八歳 健二けんじと申します。

 

 そして半年前から同棲を始めた彼女がいます。

 

 名前は、あやです。

 ボクは、彼女のことが大好きです。

 

 彼女もボクのことが大好きでした。

 

 …ついこの間までは。

 

 

 

 …

 

 たぶん…

 

 

 いや、きっと…

 

 

 

 …

 

 

 

 

 さかのぼること数ヶ月前、ボクと彼女は同棲を始めた。

 

 毎日一緒にいられるなんて、こんな最高なことはないだろう。

 

 これから幸せな人生が待っていること間違いなしだ。

 

 

 そう信じていたのに…

 

 …

 

 初めの頃は休日一緒に家具を選んだり、食器を買い集めたりしていました。

 

 しかし…ボクは…

 それなりに思うところもありました。

 

 

 その家具の色…どうなの?とか、そこにその配置どうなの?とか。

 

 

 まぁでも、揉めたくないからとにかく彼女に合わせて、いいんじゃない?とこたえておりました。

 

 

 なので同棲部屋は、ほとんど彼女の趣味といってもよいくらいの部屋です。

 

 それでも彼女が嬉しそうならいいとボクは思っております。

 

 

 

 料理は、ほとんど彼女が作ります。

 

 なのでボクは、ゴミ捨てとか洗濯をまわすとか、雑用的なことを気分が向いた時にやっていました。いや、むしろ積極的に行っていた方です。

 

 

 しかし彼女からしてみれば、余計なこと…らしいのです。

 

 

 あのゴミも捨てるつもりだったんだけどな、とか…洗濯するならまだ入るからあれも洗いたかったとか…。

 

 

 だからボクは、あまり家事をしなくなりました。

 

 

 そのうち、なんだかお互いがどういう立場なのかすらわからなくなりました。

 

 

 

 ボクは、彼女のなんなのでしょう?

 

 彼女は、ボクよりも仕事時間が短いです。

 だから、ボクが帰るといつもご飯を用意してくれていて、出してくれます。

 お風呂も沸かしておいてくれます。

 そしてタンスには乾いた洗濯物がきれいに畳まれているのです。

 

 

 もう、これはプチ旅館じゃありませんか?

 

 

 なんとも快適な生活。

 

 

 彼女というよりは、仲居さん。

 

 もしくは、お母さん…?

 

 

 

 結婚したら、この生活が永遠と続くのでしょう。

 

 でも、ボクはそれも悪くはないと思うのです。

 

 彼女もきっと、お世話好きなのだろう。

 

 

 ボク的には楽な生活ですが、金銭面でいうと…正直そこは、あまり楽ではありません。

 

 ですが、やっぱり少しお金に不自由があったとしても、身の回りのことを誰かがしてくださるのであればボクは、少しお金の不自由があっても構いません。

 

 そもそも好きな人との出費ですし。

 

 同棲してからは特に朝ごはんの提供は、自分ではこんな手の込んだ朝ごはん、絶対作れないし、無理なので最高にありがたいです。

 

 

 そんなありがたい生活のおかげでボクは、栄養のあるものをきちんと摂取できているので、お肌の様子がすこぶる良いです。

 

 もちろん彼女も同じものを食べているのでお肌がプルンプルンだと思っていました。

 

 

 ですが、ふと食事中の彼女をみると…なんかやつれてる?いや、なんか全体的に負のオーラを放っているかのような異様な感じがします。

 

 

 どうしてでしょう?

 

 綾、体調悪い?と聞いても大丈夫だよ。と力なく笑うだけ…。

 

 

 …

 

 

 本人が大丈夫というなら、大丈夫なのだろうか?

 

 でも、少し心配だ。

 

 

 そんな体調不良の彼女が、明日は会社の飲み会があるから、夜ご飯できあわせのものでいいかな?なんて聞いてきた。

 

 同棲するまえは自分でも少し料理していたから自分で作るのもアリだったのですが、でも…台所にオレが入って色々汚されたら彼女も嫌がるかなと思って、ボクは…それでいいよ。

 と返事をした。

 

 次の日、お惣菜がテーブルに並んでいた。

 

 

 そんな数週間後、いつもは帰りが早い彼女が残業になってしまったらしい。

 

 珍しいなとは思ったけど、仕事だし仕方ない。

 

 先に帰ったボクは、洗濯物をベランダから取り込んだ。

 

 

 するとしばらく経った頃、いきなりの土砂降りとなった。

 

 

 彼女は、傘を持っているだろうか…?

 

 

 サプライズがてら、残業の彼女のお迎えに行こうと彼女の会社へと向かった。

 

 

 驚くかな?

 どんな表情になるかな?

 帰りに二人でどこか寄って、そのまま夜ご飯食べて帰ろうかな?

 と、内心ワクワクなボク。

 

 

 彼女の会社の近くにコンビニがあるので、ボクはそこで待機しながら、ちょうど読みたかった雑誌を購入した。

 

 

 すると…

 

 

「わー、めっちゃ濡れたぁ」

「ほんと一瞬でずぶ濡れっすね」

 と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

 あ…

 

 これは…

 

 …

 

 なんだかとても見てはいけないものをみてしまったかのような罪悪感に陥った。

 

 

 ボクは、とっさにその二人から見えないようにそっと店を後にした。

 

 

 続く。

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