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遠野紫の短編集

転生したらおろしたての消しゴムだった話

作者: 遠野紫

 俺は田中鈴木エレン。

 うん。どこからが苗字でどこからが名前なのかがわからないと思う。実際俺も物心ついた頃に自分の名前が周りの子たちと明らかに違うから驚いたもんだ。


 どうやら、鈴木エレンというキャラが主人公のアニメがあるらしくその名前を付けたらしい。所謂キラキラネームというやつだ。


 さて、俺の名前のことはこのくらいにして今の状況を3行で説明しよう。

 トラックに

 轢かれて

 転生した。


 それで転生した物は何だと思う? 絶世の美少女エルフ? それとも最強の賢者? 変わり者だと武器とか鎧かな?

 どれも違う。


 俺は、消しゴムになった。

 おろしたての真新しい角がある消しゴムだ。


「マリンちゃん消しゴム貸してくれない?」

「どうぞー」 


 俺の持ち主は佐藤マリン。名前に風味があるもの同士、なんだか親近感が湧いちゃうね。


 っておい待て待て!? マリンの隣の席の子、俺の使っていない方の角を使おうとしている!?

 早まるな、考え直せ! 既に使われている方があるだろ!?


「ありがと」

「どういたしましてー」


 良いのかマリン!? 既に使われている方では無く新しい方の角を使われてしまって君は本当に良いのか!?


「ごめん、僕にも貸してくれない?」

「どうぞどうぞ」


 今度は大丈夫だろうな……。

 ああ駄目だ! 逆側をケースから出して使い始めた! しかも2回! 別々に!

 これで俺にはもう角が無い。四つ角が全て丸くなってしまった。


 というより、こんなことをされても何も言わないマリンは聖人なのか!? ああ、聖女様はここにいた。ファンタジー世界に転生などせずとも、聖女様はここにいたのだ。


 俺は決めた。彼女に生涯を捧げよう。

 文字通り、彼女のために身を削ることをここに誓おう。


 次の日、俺は捨てられた。そして彼女は新しい消しゴムを買った。

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