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お一人様

 怪人エモーションだ!

 

 人間というのは、やはりよく分からない。

 人間の生態を調べる実験は今日も続く。

 

 

 不思議な言葉を耳にした。

 “お一人様”とは、一体なんだろうか。

 “様”をつけるあたりに、よろしくない感じが見え隠れしている。そんな気もする。

 

 わたしの生態調査によると、人目が気になり、一人だというのに、わざわざ二人分ずつ買うようにしているという者がいた。

 タピオカを二つ…

 ケーキを二つ…

 歩いていても、家に帰っても、“一人”なのにだ!

 怪人としては、この人間の行動は実に奇妙だ。

 

 いいか、そもそも人間は一人だ。死ぬまでずっと一人なのだ。

 それは怪人も同じ。永遠に一人なのだ。

 

 人目を気にして一人でラーメンを食べられない者は人生一つ損している。

 諦めたその店のラーメンが美味しかったらどうするのだ?

 出会いを一つ捨てていることになるぞ。

 

 しかし、それでも一人ではどこにも行けないという人間よ、怪人がいいことを教えてやろう。

 いいか、本格的なカメラを持って行け!!!

 

 カメラさえ持てば、人間はどこへでも一人で行くことができる。

 カメラを極めるための行動だと、世間様に猛アピールをするのだ。

 これは男女問わず効果を発揮するだろう。

 いいか、カメラマンは全人類に尊敬される。

 そして、女であってもカメラウーマンではなく、カメラマンと呼ばれる。

 その平等さが、わたしは心地よい。

 

 ファミリーじゃなくても、ファミリーレストランにだって行けるのだ。

 ん? ファミレスにカメラ、おかしいと思われるだと?

 そんな言葉は一切受け付けないぞ!

 どこかへ出かけた帰りのファミリーレストランだという顔をしていればいい。

 カメラを極めた後の食事だ。何ら問題はない。

 

 

 しかし、写真というものに、わたしは物申したい。

 ある二つの写真があった。

 “偶然撮れた奇跡の一瞬”と、カメラを構えれば“誰でも同じものが撮れる絶景”と、一体どちらが評価されただろうか?

 

 わたしの生態調査によると、ある大学内の写真コンテストで一位に選ばれたのは、なんと誰でも撮れる絶景の方だった。

 奇跡の瞬間には、残念なほど票が入らなかったらしい。

 その二つの写真。実は撮ったのは同じ人物だった。

 自分の想いとは裏腹に、違う形で一位になり、表彰されたそうだ。

 しかし、この結果に絶望を感じたそいつは、それをきっかけに写真への情熱を少し失った。

 誰でも撮れるドアノブの写真を、モノクロにして撮っている写真部にも入らなかったそうだ。

 クソッ! “偶然撮れた奇跡の一瞬”で、一位になりたかったのに!!!

 

 

 話が脱線した。

 お一人様を気にする人間よ、誰の様子を気にしている?

 教えてくれ! 地球という大きな水槽に飼われている愚かな人間よ。

 

 お一人様の言動と、それを見守るお二人様以上の人々。

 その感情に名前をつけたなら、それはなんと呼ぶのだろう。

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