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90 少し、かかるかもな

 ネロを入り口で見送って、ソファに移動した。ローテーブルの上で重ねて置かれているネロの本を横に退かして、分厚い『東の大陸・探訪記』を持ち上げてソファ移動させる。


 クッションを二つ重ねにして胸の下あたりに置き、うつ伏せで本を開いてみた。一番最初に大きく見開きで東の大陸オウリュウの地図が描かれている。


 歪んだ卵型というか、北東から南西にかけて転がってる緩い三角形というか、南西に行くほど窄まった形の大きな大陸らしい。こんな形の大陸なんだ、と挿絵を眺める。


 東の大陸オウリュウは四つの国家から成り立っているみたいだ。中央北部にある一番小さな国家のみ、亜人が統治している国家らしい。それ以外の3つの国家はそれぞれ人族が統治しているとの事だ。


 ぺらぺらとページを捲っていって、面白そうな項目を探していく。モンスターの素材を使った工芸品があるみたいだね。その工芸品の中の1つの項目に目が引き寄せられてしまった。


 虫のモンスターの中の一種に品種改良を重ねて、家畜化する事に成功したらしい。その虫のモンスターは、人に対して無害であり、人の手なしでは生きていけない生物。その虫型のモンスターから取れる糸で布を生産する技術はこの地域独自の技術だって書かれている。


 虫のモンスターってトコロが違うけど、それって絹だよね。って事は、あの可愛いもふもふな虫もいるのかな。俺が知ってる中で唯一、虫として嫌悪の対象にはならない、もふもふの見た目。虫なのに可愛さすら感じさせるあの外見。あれがおっきいのかな。一度でいいから見てみたいな。


 読み進めると、その糸でできた布を使った伝統的な衣服がこの前見た浴衣らしい。浴衣か。いいな。洋服もいいけど浴衣もいいよね。やっぱり東の大陸って少し日本と似てる感じがする。風が動いた気がして入り口を見ると、びしょ濡れのネロがいた。


「〈シール〉を忘れていた。琥珀といると先にかけるが、今回は完全に忘れていた。」


「いいから〈乾燥〉しちゃって。」


 俺が口を開く前にネロが慌てたように言い訳のように話し始めた。言い訳を始めたネロに視線を向けたままで、苦笑しながら〈乾燥〉を促して座り直す。


 俺の言葉で頷いてくれたネロが最大出力の〈乾燥〉を発動した。猫耳も尻尾も盛大にパタパタして可愛い。これが眼福ってヤツだと思うんですよ。


 〈乾燥〉の終わったぼさぼさなネロを手招きで呼んでみる。ネロは大人しく俺の前に座ってくれた。前髪に指を滑らせて整えてあげると、ネロは気持ち良さそうに目を細めてくれる。横と後ろも整えて完了。


 ネロの髪から手を離すと、ネロは俺の読んでいた本をローテーブルに移動してしまった。そして、クッションも適当に床に落として、隣に座ってくる。


「そんなに急いでたの?」


「考え事をしていた。」


「ネロでも少しだけ抜けてる所もあるんだ。完璧な人だと思ってた。」


「一人でいるとこんなモノ。」


「ほう。」


「完璧な人などいない。一人の時は食事も睡眠も忘れる時がある。」


 背もたれに寄りかかったネロはぼんやりと中空を見上げてしまった。そうだよね。俺から見ると完璧でも、ネロ自身からは完璧じゃないのかもしれない。


「ごめん。でも、ネロがちょっとだけ近くに感じて嬉しかった。」


「そうか。」


「それに、耳がパタパタするのをまた見れた。良かった。」


 少し考え込んでいる感じのネロが心配になって、傷だらけの顔に手を伸ばしてみる。ネロの顔の傷を撫でながら、ちょっと抜けてるところがいいんだよって。あとは、耳も良かったって伝えてみた。顔を俺に向けたネロが頬を緩めてくれた。


「あ、ネロは東の大陸に行った事があるんでしょ?」


 ネロなら知ってるかなって、声を弾ませてきいてみると、ネロは更に頬を緩ませて頷いてくれる。優しい表情のネロは聞きたい事があるのかって感じで、小首を傾けてくれた。


「本を読んでたら、虫のモンスターを家畜化して糸を工芸品にって書いてあったんだけど。ネロは知ってる?」


「その糸で作られた衣服は見た。東の大陸の一部の国では普段着のようだった。」


 おー、マジか。って事は、普通に街中で着られてるって事なんだね。浴衣か着物か、そんなのを町の人が日常で着てるって光景とかいいじゃん。マジで楽しみ。


「マジか。いつか欲しいな、その服。ちゃんとお金を貯める術を手に入れないとね。虫の方は見た事あるの?」


「虫は見ていない。」


「そっか。ちょっと見てみたかった。」


「琥珀は虫が苦手ではなかったのか?」


「うん、苦手。でも、怖いモノ見たさってヤツかな。ちょっと気になった。」


「そうか。」


 今住んでる国すらも、俺はまだ知らない事の方が多い。遠い東の大陸なんて辿り着くのにどれくらいかかるんだろう。そして、世界とか考えるとメッチャ広そう。


 日本に住んでた時だって、地球を一周するのに凄い時間と膨大なお金がかかりそうなのに。まだね、地球なら乗り物があるから時間短縮できると思うんだよ。


 でも、この世界だったら、全部歩きになるんだろうな。って考えると、更に時間とお金が必要になってくる筈。しかも、その歩きで制覇しようとしているのは貧弱なステータスの俺。ホント、どうなるんだろうね。考えるのが怖くなってくる。


「世界は広いよね。俺が世界を回るとして、全て見て回るのにどれだけの時間がかかるんだろうね。」


「そうだな。少し、かかるかもな。」


「少し?」


 未来を想像して、溜息交じりに質問にもなってない話が口から出ていた。ネロは少しの間をおいて、疑問と取ったらしく答えてくれる。曖昧に答えてくれるネロにフフッとなりながら聞き返してみた。ネロは少しだけ眉を寄せた後で、小さく頷いてくれる。


「そっか。少しか。」


 背もたれに寄りかかって天井を見上げてみた。少し、ネロなりの優しい言葉だ。実際に俺が世界を回るとしたら、少しどころか、膨大な時間がかかるのは確定だ。


 でも、全く知らない世界を見て回るのって凄く楽しそう。外に出るにはまず知識を蓄えなきゃね。自分の考えに頷いて、前を向く。


「外ってやっぱりモンスターが沢山いるの?」


「少し、多い、かな。モンスターと魔物。」


 少し多いってどっちなんだ。少ないのか多いのか。多分だけど、少しってのはネロの控えめな表現なんだろう。多いってのが正解だろうな。そっか、モンスターと魔物がうじゃうじゃいるんだね。って、魔物ってなんだ、モンスターだけじゃないのかな。


「モンスター以外に魔物がいるの?」


「モンスターは生物系が多い。主には動物系、植物系、虫系など。魔物の系統は種類が多く、モンスターより知性が高い。」


 あ~成る程ね。モンスターってのは弱めの雑魚敵ポジションで、上位的な強いのが魔物って事かな。


「って事は、魔物は凄く強いって事なのかな?」


「凄く強いモノもいる。」


「弱いのもいるの?」


「そうだな。」


 あれ、弱い魔物もいるのか。完全上位の強敵って訳でもないんだ。モンスターはどうなんだろう。


「モンスターは弱い?」


「弱いモノも強いモノもいる。」


「成る程。じゃぁ、俺が一人で外の世界で生きて行けると思う?」


 成る程っと頷いて、次にした質問で、ネロは言葉に詰まってしまったらしい。俺に視線を向けたままで熟考するネロを眺める。考え込んでいても、無表情は変わらないね。何も変化がない。


「今のままでは少し厳しいかもしれない。」


「まぁ、そうだよね。分かってる。」


 たっぷり数分間考え込んだネロが結論を出してくれた。いつもの淡々とした口調ではなく、柔らかで優しく気遣ってくれる感じのネロの言葉が胸に刺さる。まぁ、知ってましたよ。どう考えても今のままでは無理ですよね。


「少しゆっくりとこの村で育てばいい。知識も力も。何れ身につく。」


「うん。そうだね。」


 引き続き、ネロは優しい言葉で言い聞かせてくれる。ネロに返した言葉が、少しだけいつものトーンより低くなっちゃった自覚はある。ホントにネロの優しさが心に刺さる。俺は死ななきゃ成長できないっぽい、って言いたくなってしまった。でも、言いたくない。聞かせたくない。


 俺の反応に不審を抱いたのか、覗き込んでくるネロに満面の笑みを返してみる。俺の作り笑顔、引き攣ってないかな。少し心配になったけどそのまま、顔を逸らして本を持ち上げた。


 太腿の間に本の背表紙を置いて本を開く。そして、さっきまで読んでいたページを探してみた。ネロの視線がこちらに向いているのは分かる。視線が突き刺さってくるからね。でも、気が付かないフリをして本に集中する事にした。


 さっきのページを見つけた。浴衣はあるけど、どうやら着物みたいにきっちりしてるのはないらしい。浴衣の生産地が温暖な気候にある為に、浴衣だけで十分機能するみたいだ。あとは、浴衣の生地の違いで多少の温度調節は可能との事だ。


 そもそも、魔法で周囲の温度を弄る事も可能だから、浴衣でも問題ないって事かな。そっか、着物はないんだ。でも、浴衣でもいいよね。浴衣の方が着るのも多分楽だし。


 会話を打ち切りたくて読み始めたけど、読んでるうちに内容にのめり込んでいた。気が付くと、俺に向けられていたネロの視線が本に向かっていた。


 ネロも読めるように本を太腿の上に移動してみる。太腿の間で固定していた本の背中が、脚の上に乗った事で不安定になった上に重い。俺の考えが分かったみたいで、ネロが本に手を伸ばしてきた。


 ネロに任せていると、ネロが本を自分の脚の上に移動してくれた。ネロの太腿の上に置かれた本は非常に安定している。ページを捲るのは俺に任せるらしく、少しだけ俺の方に傾けて本を支えてくれている。


「その本は重くないの?」


「他の本よりは重い。」


「じゃあ、その本は高価なモノ?」


 最初の質問には直ぐに帰ってきたレスポンスが、次の質問ではいつまでも戻ってこない。答えてくれないネロに目を向けてみた。困った感じで考え込んでいるネロを覗き込んでみる。


「少しだけ、高価。かもしれない。」


「俺は出世払いで本当に返せるのかな?怖いわ。」


「問題無い。」


 やっと答えてくれたネロの声は凄く困った感じに聞こえる。本気で困ってるネロに拗ねるように呟いてみたら、即答でいつもの返事が返ってきた。ネロの瞳をじっと見つめる。目を逸らしてしまったネロの反応が全てを物語ってる気がして、フフッと笑ってしまった。


「ありがとね。本当に、いつか返せるまで頑張る。」


「琥珀はこの服が欲しいのか?」


 笑いながらお礼を伝えてみると、ネロは目を逸らしたままで頷いてくれた。そして、視線を本に戻したネロは開いていたページを指差して聞いてくる。


 ネロも浴衣にちょっと興味があるのかな。そうだね、ネロも似合いそう。ネロは背が高いし、スタイルが良くて綺麗だから、モデルさん並に似合うだろうな。いいと思います。


「うん、欲しい。着易そうだし。デザインも好き。ネロも背が高いし似合いそうだよね。」


「そうか。」


「いつかね、東の大陸に行く事があったら、ネロに1着贈るね。いつになるか分からないけど。」


「楽しみにしている。」


「うん。」


 本当にいつになるのか分からないし、そもそもお金を稼ぐ手段もない。ネロもそれは分かってる筈なのに、目を細めて嬉しそうに答えてくれた。俺も笑顔で頷いて返す。ネロの膝から本を持ち上げてローテーブルに戻して、代わりにネロの武器の本を手渡した。


「あの本は分厚いから捲りにくい。それ一緒に読もう。俺でも使える武器が載ってるかも?」


「そうだな。」


 ネロがゆっくり捲ってくれる本を覗き込みながら、情報を流し読みする。結構ページが進んだけど、やっぱり俺が使えそうな武器はなさそうだ。


 重さが凄くネックっぽい。小さな武器でも重さが結構あるみたいなんだよね。短剣とかだったら軽そうだからイケるかなって思ったんだけどな。駄目か。


 溜息をついて背もたれに寄りかかってしまった。ページを捲る手を止めて、ネロが俺に顔を向けてきた。俺を眺めているネロをちらっと見上げる。


「武器って結構重量があるんだね。ソレを振り回すのって相当筋力がいるよね。」


「そうだな。」


「じゃあ、筋トレをしようかな。まずは筋力を鍛えよう。」


「昼間、鍛錬場で俺が鍛錬をしている間、琥珀も軽い鍛錬をするか?」


「ネロは夜の間は仕事でしょ?昼間は寝なくて大丈夫?」


「朝帰って少し睡眠を取れば問題無い。」


「そっか、じゃあ。俺はネロの睡眠の邪魔にならないように学び舎にでも行けばいいね。で、午後から鍛錬するか。」


「いや、当分は雨が続く。雨の間は学び舎は開かれない。」


「えぇ、そうなんだ。」


「子供は濡れるのを嫌う。」


「そうなんだ。ネロとかレオさんとか、濡れても全く気にしないから。ガトの人は雨とか濡れるのは平気なのかと思ってた。」


「子供の時は始祖の感覚が鋭くでる傾向にある。始祖は濡れる事を好まなかった、多分。」


 あー、確かにね。雪丸もお風呂の時は大変だった。そのくせ、人が風呂に入ってると、入れろってやってきて湯船の蓋に乗って寛いでたな。風呂の中のお湯を飲もうとして、湯船に落ちた事もあった。思い出して少し笑ってしまう。


「ネロも子供の頃は濡れるのが嫌いだった?」


「気にしなかった、多分。」


「そっか。ネロらしいね。でも、学び舎がお休みなのは少し悲しい。俺は結構長く休んじゃってるし、そろそろ復帰をと思ってたんだけど。まぁ、本を読むだけだし、分からなかったらネロに聞けるから問題ないか。」


「じゃあ、明日から鍛錬開始でいいの?」


「いや、琥珀の体調が戻ってから。」


「えー、俺はもう元気だよ?」


「明日一日薬を飲んで安静にして、気分も体調も回復したと判断したら次の日から開始する。」


「了解。」


 話は終わり、で、また本のページを捲り始めたネロの隣で、俺も本の文字を辿っていく。大分慣れてきた感覚はあるんだよ。でも、目に入ってきた解読不可能な文字の情報がどこかで変換されて、理解できる言葉になる不思議は、未だに少し疲れてしまう。


 多分だけど、俺の本を読むペースは遅い部類なんだろうな。でも、知力が1なのに、理解はできるって凄く感じる。知力以外に理解力的なのもあるって事なのかな。


(御座います。)


 おお、そうなんだ。知力とは別枠のステータスって事なのかな。


(はい。見聞した事柄を己の知識に変換する力です。知力とは別の能力となっています。)


 成る程ね。それも隠しステータスの中の一つって事か。


(はい。)


 ふむふむ、と頷いていたら、視線を感じた。注がれる視線を辿って見上げてみる。ネロが疑問の表情で俺を見ているのが目に映る。


「あ、文字って、この字以外に外国は違う文字だったりするのかな。」


「そうだな。文字は国や、種族によっても異なる。」


「言葉も違う?」


「文字と同じで、国によって異なる。種族独自の言葉もある。」


「ネロは一人旅した時に言葉の違いで困らなかったの?」


「行った先で慣れていく。」


「ほぉ。じゃあ、字が読めたり書くのも問題なかった?」


「読むのは普通に。会話も普通に。書く事は余り無かった。自分の名前は書く機会があったから書ける。それ以外を何か書けと言われても無理、多分。」


「もしかしてネロは超優秀なのかな。頭も超いいの?」


「普通。」


 イヤ、普通じゃないでしょ。外国滞在でその国の言葉を普通に話したり読めたりできるんでしょ。どれだけ長期滞在してるかにもよるけど、かなり凄い頭の持ち主だよね。


 俺は〈翻訳〉があるから多分平気だと思うけど、地頭でやれって言われたら絶対無理。ってか、〈翻訳〉無しの状態では、今ですらネロと交流できてなかった。あ、ネロなら日本語をマスターして普通に日本語で会話してる可能性もあったかもしれない。


「そっか。ん~。俺は多分だけど、読むのと会話はできると思う。でも、字が書けないんだよな。勿論、ここの字も書けない。書く事ってそんなにないのかな。」


「学者や技術職なら書く事も多いが、通常の生活ではそこまでない。」


「例えば、宿屋に泊まる時に記帳したりとかはしないの?」


「『キチョウ』、とは?」


 そっか、記帳するっていう習慣がないんだ。じゃあどうやって泊まるんだよ。


「あぁ、宿屋に泊まる手順はどうやるの?」


「泊まりたい旨を伝えて、空室があれば金を払って部屋に行く。」


 まじか、前払い制で個人情報は渡さない制度なのか。まぁ、そこで字を書かなくていいなら、外に出た時にもちょっと安心だ。名前を書くって、宿屋関係なのかと思ったんだけどな。違うとなると、どこで名前なんか書く必要があるんだろ。


「成る程ね。じゃあ、ネロが名前を書いたのって何に対してなの?」


「闘技大会や武術大会、剣術の大会などで出場する際に登録で。」


「あぁ、成る程。それ以外には書く事は何もなかった?」


「多少はあった、かもしれないが。口頭で終わらせる事が殆ど。書かなくても問題無い。」


「そっか。ありがと。」


 色々と情報が沢山入ってきて驚いた。本の中だけだと分らない事も多いって事だよね。成る程ね。ふむふむ頷きながら、またネロの本に目を戻す。ネロは何かを考えてるのか、俺に視線を向けたままで動かなくなってしまった。


 ネロが開きっぱなしにしているページを熟読する事にした。今まで読んできた情報を纏めると、短剣は重さの平均が1㌔以上あるっぽい。紋様の効果や素材によって上下する事はあるらしいけど、短剣は概ね1㌔前後か。それくらいの重さなら持つことは全然平気かな。


 ただ、振り回して攻撃をしたりとかすると確実に消耗する事は間違いないだろう。下手したら落としたりして自分がケガをするかもしれない。俺の場合、かすり傷でも死に直結するのは確定事項だ。


 更には、武器の取り扱いは、自身に返ってくる反動も気にしないとだと思うんだよ。短剣なんて、もう少し軽いモノだと思ってた。最軽量な武器なんだし、それこそ半分以下くらいの重さなのかと思ってたよ。


(琥珀様の『二ホン』に於いては、その認識で間違いないと思われます。琥珀様の情報を元に算出すると『二ホン』に於いて、短剣に関しては例外はあると思いますが、凡そ250㌘~600㌘の範囲のようです。モーティナに於いては、素材が多岐に渡る事、及び強度の観点から琥珀様の知識の中より2倍から3倍の重量になるようです。これは他の武器種も同様です。尚、紋様の効果や様々な要因により、超軽量の武器、もしくは、超重量の武器も存在します。)


 成る程。スツィ、ありがと。そうだよね、余り軽すぎても殺傷能力は低くなるのかもしれないね。対人なら軽くても大丈夫だけど、モンスター相手だと強度的に少しキツイって事かもしれない。おもちゃじゃないんだし、そりゃそうだ。これより軽いとなると、ネロの投げてた苦無とか投擲系か。


 外はモンスターとか魔物がいるなら、ホントに戦えないと話にならない、ですよね。困ったな。息を吐き出してしまったら、まだ注がれている視線が気になってしまった。


 ちらっとネロに視線を向けてみた。何か考えている、ように見える無表情のネロが見える。実際は何も考えてないのかもしれない。タイミングよく、俺のお腹が主張してくれた。


 お腹の音でネロが本を閉じて立ち上がった。俺も続こうとしたら、ネロが手で制して、一人でフラッと外に出て行ってしまった。って、また〈シール〉をしてなかったな。入り口から外を覗いてみたけど、ネロはもういない。

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