5 お役所仕事かよ
(死んでしまうとは情けない。)
そんな声と共に眼を開けると、其処は石壁の朽ちかけた神殿のような建物の中だった。頭を抱える俺に容赦なく響くスツィの『声』。
(デスボーナスの獲得:ステータス魅力 獲得しますか?)
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ。スツィさん、デスボーナスはランダムって言ってたのにめっちゃ偏ってるよね!!5連続ステータス魅力って選んで決めてるよね!!最初の神スキル・魔法は何だったの!!」
(完全にランダムです。ご了承ください。)
「他にも有能スキルとか魔法とか、他のステータスとか、何なら無能スキルでも全く使えなさそうな駄魔法でも色々ある筈だよねっ!!5連続ステータスでしかも毎回魅力って何なの!」
(完全にランダムです。ご了承ください。)
「お役所仕事かよ!はいはい、獲得しますよっ。」
淡い緑の光が俺を包む。ええ、〈照明〉を獲得して進めるようになったから楽勝っと考えてから5回死にました。死んだ経緯は、まぁ置いといて。別に、壁の模様綺麗だなっとよそ見していて壁にぶつかったとか、石に躓いたとか、途中で〈照明〉切れて戻れなくなったとか、まぁ、別に取るに足らない事だよ。
モンスターに遭遇してすらいないし、罠にもかかってない。まぁ、そういうことですよ。問題は、その俺の犠牲の上に成り立っているのが5回連続ステータスアップ、魅力☆彡。って事なんだよ!!どうやってこの初期ダンジョンをクリアしろっていうんだよ。
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一神 琥珀
HP:1/1 MP:1/1 DC:9/∞
力:1 体力:1 素早さ:1 知力:1
器用:1 精神力:10 魅力:60
オートスキル:翻訳R.1
スキル:ステータス可視化R.1
魔法:水属性〈浄化〉R.1
光属性〈照明〉R.1
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ステータスを見て思わず溜息を吐いてしまう。一方向に尖がり過ぎじゃないの?このステータス、そもそも、たった一人の世界で魅力なんて意味ねぇだろ。誰に魅力を届けるっていうんだよ。くそが。
(ステータス魅力:種族、性別、生物種、物質の如何を問わず惹きつけるステータス。全ての知性のある存在に有効。)
相も変わらず、すかさず説明を入れてくれるスツィさん。マジお役所仕事ご苦労様です。
(お役所ではありませんが、ありがとうございます。)
ぼやいてもしかたないし、何となく階段下の空間の構造も分かってきた。行くかぁ。諦めの境地に達して溜息と共に階段に向かい〈照明〉を発動させる。もうね、作業ですよ。作業ゲー。魔法初ゲトでテンションの上がった時が遠い昔の事に感じられてくるよ。
まっすぐ進んで、分岐を右、で次も右。5回の犠牲と共に得た『魅力』(暫定、俺の最強ステータス)と共に外に出るぞ!と意気込んだ俺の目の前に現れたのは、ここにきて初めて見る命ある生き物。
そう、モンスターが沢山いるって書かれていた筈のこの地下の空間で、今まで一度も出会わなかった命ある生き物なんだよ。モンスターを沢山配置してたんじゃなかったのかよ、まぁ、そのおかげで貧弱体質でも少しずつ攻略できてたんだけどね。
つぶらな赤い瞳でこちらを見つめてくる、白い体のリスのような見た目でウサギ位の大きさの可愛い生き物。見た目、マジ可愛い小動物。でもこの地下空間にいるんだからそんな訳ないよね。
モンスターかと一瞬身構えたけど、こっちは素早さ1、体力もHPも1。まぁ、何というか。オール1の状態ですよね、微妙に高い精神力と大幅に高い魅力以外は。襲われたらまた出直しかーと悟りの境地に達して、もはや心穏やかになってくる。
赤い目のリスもどきはこちらの緊張もいざ知らず、ずぃっとこちらに近づいてきて俺の膝に可愛らしく頭をすりすりとし始めた。え、何。コレ攻撃なの?めっちゃ可愛い攻撃だな。
あ、こんな地下の暗い空間に閉じ込められて俺みたいに諦めの境地的なのであれだ、弱い子だけど一生懸命アタックしてる的なのだね。健気で可愛いじゃん。そうだよな、俺みたいに弱い子なんだよね。
(全く違います。ステータス魅力の効果で懐いてしまったようです。)
戸惑った後で自分なりに結論に達したら、即否定された上にスツィが解説してくれた。成る程、魅力すげー、さっきは貶してすいません。そう心の中で謝ってから、懐いてしまったらしい可愛くピュイピュイ鳴くリスもどきの頭を撫でようと手を伸ばしかけた時、視界の端で白い集団がわさっと動いたのが見えた。慌てて視線を向けると、大量のリスもどきの集団。突進してくる白い集団に、為す術もなく。




