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39 味付けがもろ俺好み

 今朝の食事場はとても混雑していた。いつもの朝食の時間帯より人が多い気がする。周りで食事をする人達の騒めきを聞きながら、ネロのお任せで出てきた食事は、白パンと、オムレツと、グリーンサラダにフルーツ山盛りという実に朝御飯って感じで好感が持てる。そしてなんか場違いな感じがする魚の塩焼きもついてきた。


 見た目的にはシンプルな塩焼きで、魚の大きさは全然違うけどアユの塩焼きっぽく見える。朝御飯に魚の塩焼きとか、テンション上がるチョイスだ。これはご飯が欲しくなる。炊き立て艶々のご飯と塩焼きの魚、多分最高の朝御飯になるよね。お米なんてモノ、この世界にはないよね。


(御座います。)


 え、あるの?お米だよ。ご飯だよ?


(琥珀様の「二ホン」の「オコメ」とは少し違うかもしれませんが、東方にて栽培しているようです。中の大陸では麦の栽培が盛んな為、加工してパンなど麦の加工品を食すようですが、東の大陸ではコメの栽培が盛んな為、コメやコメの加工品を食すようです。)


 東の大陸ってオウリュウ?


(はい。)


 まぢか。いつか行こう。絶対に行こう。お米のある生活とか、絶対に行かなきゃだよね。自分に言い聞かせるように心に誓いながら、いただきますっと手を合わせる。


 焼き魚の存在で少し時が止まってしまっていたみたいだ。既に祈りを終わらせていたっぽいネロは、俺の言葉を待っていたらしく、食べ始めた。どうやら俺が食事を始めるのを待ってくれていたらしい。


 俺も食事を始める事にする。焼き魚は、もちろん美味い。普通に塩焼き、川魚の塩焼き。めっちゃ美味い。シンプルになんのスパイスも加えられていない、塩味の焼き魚。焼き魚を味わいながら思う。パンにも合うけどさ、やっぱご飯が欲しくなるよね。


「今日は混んでるね。何かあるのかな?」


「狩りから戻った男共が多い。家族で来ている者も。」


 いつも朝はここまで混雑せずにゆったりと食べられるのに、こんなに混んでる状況をネロに聞いてみた。ネロの言葉で、改めて周りを見渡すと、確かに一人で来たらしい成人男性の姿や、家族連れが多い気がする。


 そして、実感した。ここの村に来てガトの人達は容姿がいいと感じてたけど、女の人と子供ばっかりだったから余計可愛い、って思ってた。戻ってきた男の人達を見ても思う。イケメン揃いであると。そして、当たり前だけど、みんな猫耳持ちである。ヤバいな。


 容姿がいいのは勿論だけど、体格もみんな素晴らしい。細マッチョから普通マッチョが多いけど、中にはゴツイ人もちらほらいる。今確認できる人達の感じではガト族は基本的には細身の筋肉質な人が多い傾向みたいだ。


 みんないい筋肉してるよな。自分の腕に視線を落としてしまった。筋肉が張ってるような男っぽい腕ではない。細くて貧弱な腕だ。ない物ねだりで、羨ましく思ってしまうのかな。


「魚はやはり苦手か?」


「いや、今日の魚はめっちゃ美味しい。味付けがもろ俺好み。満足です。」


 自分の細腕を見ながら溜息を吐いてしまったら、ネロが声を掛けてくれる。俺の思惑とは全然違う事を聞かれて、思わずかぶせ気味に答えてしまった。誤魔化す為に発言したけど、間違いなく今日の魚は最高に美味しい。


 オムレツもサラダも美味しく食べて、フルーツを摘みながら再度周りを見渡してみる。家族連れの子供達はにこにこと嬉しそうに、自分達の父親に話し掛けている光景がちらほら、あちこちに広がっていた。


 その中で見知った顔、金髪タレ耳の天使ちゃんと目が合った。にぱーっと天使ちゃんの顔が輝くのを見て、にっこり笑顔を返しながら手を振ってみる。


 隣に座っていたセクシーママさんが、俺に気が付いてにこっと笑顔で会釈を返してくれた。セクシーママさんと天使ちゃんの向かいに座っているのは、昨日会った雉虎お父さんだ。家族で朝食みたいだね。視線を巡らせた先の、どの家族の子供達も嬉しくて楽しそうだ。


 食後のお茶を飲んでいる間に、ネロがささっとテーブルの上の食器を纏めて片付けてくれている。視界に映る食事場の光景の中では、ネロの動きに合わせて、周囲の女の人達の視線が動くのが分った。


 恋人らしき男女二人連れの女の人や、家族連れの奥さん方も例外ではない。彼氏さんや旦那さん達はピクリと反応する人もいるけど、大部分は無反応だ。男の人達の中にもネロを目で追いかけている人達もいるから、多分ネロは有名な人なんだろう。


 視線が集中するのはいつもの事なんだと思う程に、ネロは全く周りの反応を気にしていない。そして、唐突に思い出した。俺は今、ガト族の要人中の要人、実質ナンバー2に片付けさせてのんびりお茶を飲んでた。今まで通りで問題ないって言われてたけど、この態度はやばい気がする。偉い人を顎で使ってる感が満載だった。


「ありがと、次からは俺が片付けます。」


「問題無い。琥珀には重いから無理。今まで通り俺がやる。」


 戻ってきたネロにお礼を言いながら、決意を伝えてみた。返ってきたネロの返答に沈黙してしまう。確かに食器は重ねると重いよ。確かに俺は力なんて全然ないよ。でも、往復すれば大丈夫じゃん!って口から飛び出そうになった言葉を堪える。


 ネロの言う事は最もだけど、俺はそこまで非力に見えるのか。渋々頷いた俺の頭をポンと撫でてくれたネロが行くぞ、と歩き出してしまった。ネロが俺の頭に手を置いた瞬間、周りから黄色い声と溜息交じりの吐息が沢山聞こえた気がしたけど気のせいだ。きっと気のせい。


 しかし、ネロは俺がこの村に来てから俺にばっかり構ってくれてる気がする。彼女とか作る気ないのかな。ネロと一緒に生活してる感じからは、今はいないみたいなんだけど。俺だったら、この村にいる可愛い子や綺麗な子に寄ってこられたらドキドキするのにな。ネロは全く反応しない。いないものとして扱ってるみたい。

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