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幕間・夜のバックヤード


「……全てはあの者の仕組んだ事だった……というわけか」

「思い出そうと思えば、いつでも思い出せる程度の魔法だった。だが、我らは己のしている事に疑問を抱く事が無かった。それ故に、今日まで全てを忘れていたのだろう」

「……兄者。結局この予言書とは、何だったのだろうな?」

「さて……予言書というよりは、育児の記録のようにも見えるな」

「育児の記録だと?」

「あの者が、わざわざ魔法で未来を見通し書いた、我らの記録。……考え過ぎだろうか?」

「……わからぬな」

「あぁ、わからぬ」

「わからぬと言えば、あの者は結局何者だったのだ? 見た目は老婆だったが、名は男。寿命が長いのは魔法を使えるかららしいが、それ以外は結局何もわからないままだ」

「さて……ギルベルトと言う名はペンネームなのかもしれぬし、本当に男なのかもしれぬし。あの者が、お前とニーナが夢中になったあの本の作者なのかも違うのか……それもわからぬ。だが……あの者に関しては、わからぬままの方が良いのかもしれぬな」

「そうか……そうかもしれないな……。ところで、兄者……」

「どうした、弟よ」

「こうして、魔法が解けて全てを思い出して……。私は、不安を覚え始めてしまっているのだが」

「不安? どのような」

「ニーナの事だ。あの者……ギルベルトが言っていただろう。人間の寿命は短い。想いを読む能力を持たせた人間が寿命を迎えたら、また新しい子どもを送り込む……と」

「そうだな。……そうだ。つまり、いずれニーナは大人となり、年老いて、我らより先に死んでいく。……これは、ほぼ間違いが無い事だ」

「……」

「お前はニーナの面倒をよく見ている。恐らく、情が湧き始めているのだろうな。だから、いずれニーナが我らの目の前で一人衰え、死んでいく様を見る事になるのが怖いのかもしれぬ。ニーナがいなくなってしまう事を、恐ろしいと思ってしまうのかもしれぬ。……どうだ?」

「……否定は、出来ぬ」

「そうか。……実はな、ツヴァイ。私もだ」

「兄者も?」

「あぁ。……他者に興味を抱くことなど滅多に無いのだが、数日とはいえ共に暮らし働いた事で、私も多少、ニーナに愛着を抱き始めているらしい。それに……長らく苦楽を共にしてきたお前が、頑張って面倒を見ているのだ。ニーナがいなくなって、お前が悲しむ様子を見る事になったらと思うと……私は、それも怖い」

「兄者……」

「寿命が短い人間は、恐らくこのような不安を頻繁に抱えているのだろう。だからこそ、書を綴るようになったのかもしれぬな。そして、その不安を共有し慰め合うために、生活のためには必要の無い書をも読み始めるようになったのかもしれぬ」

「……そう、かもしれないな」

「そこで、だ。弟よ。一つ、提案があるのだが」

「……提案……?」

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