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幕間・夜のバックヤード

「何やら楽しそうな顔をしているな、弟よ」

「あぁ、兄者。先程、今日貰った本を読み終えてな。ニーナの様子からどれほどのものかと気になってはいたのだが、たしかに面白かった。あのような本を差し入れてくれるとは、あの変態もたまには良い事をしてくれる」

「随分とお気に召したようだな」

「あぁ。作者が書きたい想いを全て詰め込んだ上で、物語に合わせた作風で文章を綴り、更に多くの者と波長が合うよう工夫されている点が随所に見受けられた。読み手を夢中にさせる条件は文章力だけではないが、この作者は全てが洗練されているように思う。……これ以上は、私の語彙では伝えきれん。兄者も早く読んでみると良い」

「うむ。ここまで評判が良いと、私も読むのが楽しみだ。まさか、ニーナがあそこまで気に入るとはな」

「ニーナは、普段何かに激しく興味を示す事は無いからな」

「あぁ。……だが……人間に興味を示したとなると……」

「……あぁ。心配だな、兄者。人間の作る本は確かに良い物が多いが、反対に毒のある物も多い。……そのような本に触れさせる事が無いようにしたい、と考えるのは……過保護というものだろうか」

「わからぬ。ニーナが人間の本に多く触れるようになる事で、ニーナの想いを読む能力もどうなる事か……」

「? どういう事だ、兄者?」

「人間の本に多く触れるようになれば、その気は無くとも自然と人間の文字を覚えるだろう。その時、ニーナは今までのように文章に籠められた想いだけを読み取る事ができるのか否か……。それに、人間の想いというのは複雑だ。それに触れ続ける事で、ニーナ自身の心がどう変質するのかにも不安がある」

「……兄者」

「案じたところで仕方のない話ではあるが……」

「そうだな、心配だ。それに……我らもな」

「あぁ。このような些事を心配するようになるなど、我らも随分と人間のような思考をするようになったものだ。……やはり、アレが関係しているのか……」

「アレ……あぁ、あの本か。そう言えば、あの本は結局見付かったのか、兄者?」

「あぁ、見付かった。そして……恐らく、あの本の出番は近い」

「……そうか」

「だが、今すぐに必要になるという話でもない。今はまだ、考えるだけ無駄な事だ」

「そうか……。ならば、今我らがすべきは……いつ何が起こっても狼狽えぬよう、心身を正常に保っておく事か」

「そうだ。そのためにも、そろそろ寝た方が良い」

「そうだな。では、変態から差し入れられた本は兄者に渡しておこう。読んだら、是非内容について語り合おうではないか、兄者」

「そうだな、それも一興だ」

「おやすみ、兄者」

「あぁ。おやすみ、弟よ」

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