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異世界から異世界  作者: こしやす
第一異世界 スライムランド
10/33

高次とマルル、運命の出会い!!!

【山奥】


 スライム狩りに勤しむ高次。

 スライム発見!二体か・・・

 行けるか?いや、無理か?

 待て、何か様子がおかしい・・・

 様子を見よう。

 茂みに隠れる。


「隊長・・・」


「どうした、マルル?おい!顔色が悪いな、大丈夫か?」


「はい・・・気分悪くて、隊長、一体になっちゃいますけど、僕、休んでいいですか?このままじゃ吐きそうで、それだけは避けたいんです!!!」


「あぁ!休んでろ、もし吐いてしまったら、お前を解雇しなきゃいけなくなる・・・」


 この世界では、吐く事がそんなにタブーなのか・・・


「はい、向こうの木陰で休んできます」


 隊長スライムから離れるマルル。


 おっ、一体になった!チャンスだ!!!


「うぉーー!!!」


 飛びかかる。


「何!?」


 応戦する隊長スライム。

 確かに強いが、キュウリみたいな奴に比べたら!


「おりゃあ!!!」


「クッ!」


 何とか倒せた!おっ!少し強くなった気がする、これがレベルアップか!


「命だけは、命だけは!」


 命乞いをする隊長スライム。

 いや、命まではとらないよ・・・


「安心し」


「大丈夫ですか!隊長ーーー!!!」


 言葉を遮り、マルルが突っ込んでくる。

 が、一体ずつなら余裕だ!


「おぇーーーー」


「!?」


 吐くマルル。


 ひと段落吐いたのを確認し、そっと峰打ちする。


「うっ!」


 ドサッ

 倒れ込むマルル。


「マルル、お前・・・禁忌を・・・」


「俺の人生、終わった・・・

 ここで殺されるか、仮に生き延びたとしても吐いてしまったから、暗い人生を送るんだ・・・」


 うん・・・悪い事したな・・・

 このまま、見逃すと彼は暗い人生を送るのか・・・

 まぁ、僕も経験値は稼がせてもらったし、少し嘘をつくか・・・


「いやーー参ったね!こんな策士がいたとはね!」


「!?」


「この俺様が潔癖症なのを見抜いて、瞬時に、吐く選択肢を取るとは、仲間を守る為に禁忌を破る覚悟!

 あんた、いい仲間持ったね!これに免じて今回は見逃してあげるよ、彼に感謝するんだね」


 立ち去る高次。


「マルル・・・お前」


「・・・」


「凄いじゃないか!お前のお陰で助かったよ!ありがとう!」


「!?でも、俺、吐いちゃったし・・・」


「見逃してやるに決まってるじゃないか!よし!立てるか、一旦、本拠地に帰るぞ!」


「はい!」


 立ち上がり、帰る途中、マルルは高次の事を考えていた。


「俺は知っている、あいつが、俺を守る為に嘘をついてくれた事、借り・・・作っちまったな」


「あいつ、一人で戦っていたな・・・仲間がいないのか?だとすれば、俺は、俺は・・・あいつの、仲間になって、あいつの右腕に・・・」


 運命が変わるのは一瞬。


 もしもの話だが、彼が後に、炎竜サウスグリードをその身に宿し、高次の懐刀になる可能性もあるかもしれない。


 ただ、これだけは断言できる。

 このスライム、マルルは。







 これ以降、この作品に登場する事は無い。

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