高次とマルル、運命の出会い!!!
【山奥】
スライム狩りに勤しむ高次。
スライム発見!二体か・・・
行けるか?いや、無理か?
待て、何か様子がおかしい・・・
様子を見よう。
茂みに隠れる。
「隊長・・・」
「どうした、マルル?おい!顔色が悪いな、大丈夫か?」
「はい・・・気分悪くて、隊長、一体になっちゃいますけど、僕、休んでいいですか?このままじゃ吐きそうで、それだけは避けたいんです!!!」
「あぁ!休んでろ、もし吐いてしまったら、お前を解雇しなきゃいけなくなる・・・」
この世界では、吐く事がそんなにタブーなのか・・・
「はい、向こうの木陰で休んできます」
隊長スライムから離れるマルル。
おっ、一体になった!チャンスだ!!!
「うぉーー!!!」
飛びかかる。
「何!?」
応戦する隊長スライム。
確かに強いが、キュウリみたいな奴に比べたら!
「おりゃあ!!!」
「クッ!」
何とか倒せた!おっ!少し強くなった気がする、これがレベルアップか!
「命だけは、命だけは!」
命乞いをする隊長スライム。
いや、命まではとらないよ・・・
「安心し」
「大丈夫ですか!隊長ーーー!!!」
言葉を遮り、マルルが突っ込んでくる。
が、一体ずつなら余裕だ!
「おぇーーーー」
「!?」
吐くマルル。
ひと段落吐いたのを確認し、そっと峰打ちする。
「うっ!」
ドサッ
倒れ込むマルル。
「マルル、お前・・・禁忌を・・・」
「俺の人生、終わった・・・
ここで殺されるか、仮に生き延びたとしても吐いてしまったから、暗い人生を送るんだ・・・」
うん・・・悪い事したな・・・
このまま、見逃すと彼は暗い人生を送るのか・・・
まぁ、僕も経験値は稼がせてもらったし、少し嘘をつくか・・・
「いやーー参ったね!こんな策士がいたとはね!」
「!?」
「この俺様が潔癖症なのを見抜いて、瞬時に、吐く選択肢を取るとは、仲間を守る為に禁忌を破る覚悟!
あんた、いい仲間持ったね!これに免じて今回は見逃してあげるよ、彼に感謝するんだね」
立ち去る高次。
「マルル・・・お前」
「・・・」
「凄いじゃないか!お前のお陰で助かったよ!ありがとう!」
「!?でも、俺、吐いちゃったし・・・」
「見逃してやるに決まってるじゃないか!よし!立てるか、一旦、本拠地に帰るぞ!」
「はい!」
立ち上がり、帰る途中、マルルは高次の事を考えていた。
「俺は知っている、あいつが、俺を守る為に嘘をついてくれた事、借り・・・作っちまったな」
「あいつ、一人で戦っていたな・・・仲間がいないのか?だとすれば、俺は、俺は・・・あいつの、仲間になって、あいつの右腕に・・・」
運命が変わるのは一瞬。
もしもの話だが、彼が後に、炎竜サウスグリードをその身に宿し、高次の懐刀になる可能性もあるかもしれない。
ただ、これだけは断言できる。
このスライム、マルルは。
これ以降、この作品に登場する事は無い。